| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第73回全国大会 (2026年3月、京都) 講演要旨
ESJ73 Abstract


一般講演(ポスター発表) P2-214  (Poster presentation)

環境時系列データへのNeural Ordinary Differential Equations適用の試み
Applying Neural Ordinary Differential Equations to Environmental Time Series Data

*横山大稀, 早川和秀, 佐藤祐一(琵環研セ)
*Daiki YOKOYAMA, Kazuhide HAYAKAWA, Yuichi SATO(Lake Biwa Env. Res. Inst.)

近年、ニューラルネットワークと微分方程式を融合した Neural Ordinary Differential Equations(Neural ODEs)という新しいアプローチが提案されている。Neural ODEs は、状態変数X(t)の時間微分dX/dtをニューラルネットワークのベクトル場としてモデル化する手法である。従来の機械学習が離散的な時刻での予測に留まるのに対し、Neural ODEs は連続時間での動力学そのものをモデル化できる点で革新的である。学習されたモデルから得られるベクトル場は変数の状態変化を表現しており、状態空間上で可視化することで種間相互作用の強さや方向を評価できる可能性がある。一方で、外部環境の時間変動を直接的に取り込むことが難しいという課題がある。
Neural Controlled Differential Equations(Neural CDE)はこの枠組みを拡張し、温度などの外生的な環境因子を含む観測時系列を連続時間の制御パスとして導入することで、外部入力に駆動される動力学系を表現可能にした手法である。ノイズや欠損を含む観測データに対しても頑健であり、状況依存的に変化する動力学を表現できる点に特徴がある。
本研究では、季節的に変動する温度環境下における Lotka–Volterra 型捕食者―被食者系に観測ノイズを加えたシミュレーションデータに対して Neural CDE を適用した。その結果、ノイズを含む時系列データからでもモデルの真の動態を高い精度で予測でき、捕食者・被食者の時間微分の予測値はモデルの真の動態と高い相関を示した。さらに、学習されたモデルから、捕食者・被食者の増加速度の偏微分を数値的に推定することで相互作用強度を推定し、その時間変化を示した。これらの結果を踏まえ、Neural CDE による動力学抽出手法の有効性と、実環境データへの適用可能性について議論したい。


日本生態学会