| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第73回全国大会 (2026年3月、京都) 講演要旨
ESJ73 Abstract


一般講演(ポスター発表) P2-216  (Poster presentation)

ミズナラ・コナラ交雑帯における共存機構の分子進化学的検証
Molecular evolutionary evidence for coexistence mechanisms in the hybrid zone between Quercus mongolica var. crispula and Q. serrata.

*伊藤僚祐, 紺頼楓, 大村栗太, 砂山星也, 小野田雄介, 井鷺裕司(京都大学)
*Ryosuke ITO, Kaede KONRAI, Kurita OMURA, Seiya SUNAYAMA, Yusuke ONODA, Yuji ISAGI(Kyoto Univ.)

実生段階の物質分配トレードオフは,森林における樹木の多種共存を支える重要な機構のひとつである.しかし,トレードオフの遺伝的基盤が遺伝子流動下でどのように維持されるかは十分に実証されていない.本研究では樹木の交雑帯を用い,トレードオフに関わる遺伝的変異が自然選択によって維持されうるかを検証した.ミズナラ (Quercus mongolica var. crispula) およびコナラ (Q. serrata) の交雑帯由来の堅果を共通圃場で栽培し,実生の成長・機能に関わる25形質と全ゲノムデータを解析した.その結果,葉機能および樹形におけるトレードオフが検出された.さらに,実生形質に関連するゲノム領域は,雑種個体で遺伝子結合(gene coupling)を示唆する強い染色体間連鎖不平衡を示し,高い種間分化と急峻な遺伝クラインも認められた.以上の結果から,本研究は,多座位選択が遺伝子流動に拮抗して遺伝子結合を形成し,物質分配トレードオフの維持を通じて多種共存に寄与しうることを,形質・ゲノム両面から示した.


日本生態学会