| | 要旨トップ | 目次 | | 日本生態学会第73回全国大会 (2026年3月、京都) 講演要旨 ESJ73 Abstract |
一般講演(ポスター発表) P2-218 (Poster presentation)
生物個体間の協力は多様な分類群において普遍的にみられる現象だが、理論的には協力者からなる集団は協力の利益のみ受け取るがコストは負担しない非協力者の侵入に対して脆弱であると考えられるため、集団内で協力が進化・維持されるメカニズムは進化生態学における重要な問題の一つである。様々な研究により、個体群に空間構造があると、協力者同士が相互作用する機会が増加することによって集団内の協力が促進されることが明らかになっている。今回の研究では、空間構造の一種であるメタ個体群構造をもつ個体群において、各パッチ内で参加者数が可変の公共財ゲームが行われると仮定した数理モデルを解析した。協力者と非協力者からなる個体群が、均一な多数の小パッチからなる環境に分布しているとする。各パッチ内でおこなわれる全員参加のゲームにおいて、協力者のみが一定コストcを払ってゲームに投資する。ゲームで得られる報酬の合計は協力者数に定数rを掛けた値に等しく、それを非協力者も含めた全員で均等に分配する。各個体の繁殖率はゲームの利得の一次関数とし、繁殖によって生じた新規個体は一定の割合μで他のパッチに分散する。各パッチで新規個体が定着できる確率は、パッチの収容力と既にパッチにいる個体数の差に比例する。個体の死亡率dは一定であり、また、各パッチは一定確率でランダムに局所的撹乱が生じ個体数がリセットされるとする。連続時間マルコフ過程モデルを用いた解析の結果、分散率μが小さい(空間構造の効果が大きい)ときは協力者のみからなる集団が安定であり、μが大きくなる(空間構造の効果が小さくなる)につれて非協力者が侵入可能なパラメータの範囲が広くなるという結果が得られた。