| | 要旨トップ | 目次 | | 日本生態学会第73回全国大会 (2026年3月、京都) 講演要旨 ESJ73 Abstract |
一般講演(ポスター発表) P2-234 (Poster presentation)
【はじめに】干潟や湿地はブルーカーボン生態系として重要な役割を持つとされ、二酸化炭素の排出源となる大都市を背負う大阪湾においてもこの役割が期待されている.しかしながら、その炭素貯留機能の評価には未だ不確実性があり、特に微生物に関する知見は十分ではなく、微生物を含む生物全体の炭素放出を統合的に評価することが課題である.干潟と湿地では環境条件や微生物群集組成が異なり、炭素化合物の利用特性は季節ごとに異なる可能性がある.そこで本研究では、大阪湾に流れる代表的な河川である淀川周辺の湿地および干潟において、環境条件を測定するとともに、エコプレートを用いて微生物の炭素化合物の利用特性を評価した.【方法】2023年11月、2024年2、5、8月に環境条件を測定し、堆積物を採集した.堆積物と滅菌生理食塩水を混合したのち、上澄みを希釈したものを微生物試料としてエコプレート(炭素化合物31種)に分注し、2週間培養した.吸光度>0.25で利用されたとし、吸光度を利用活性として評価した.【結果】全ての月において干潟では湿地より酸化還元電位(ORP)が低く、酸揮発性硫化物(AVS)が高かったことから、より嫌気的であることが示された.利用された炭素化合物の数は干潟や湿地および季節で差はなかったが、利用活性は8月に高い傾向があった.単糖であるD-xyloseは干潟と湿地とも8月に高い活性を示し、一方、必須アミノ酸であるL-phenylalanineは干潟では8月の活性は高いものの、湿地では季節間の差はなかった.以上より、干潟と湿地に生息する微生物の炭素化合物の利用特性は、ポテンシャルに差はないが、8月に利用活性の高い傾向があることや炭素化合物によって季節に対する応答は異なるなど、量的な機能の一端が異なる可能性が示唆された.