| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第73回全国大会 (2026年3月、京都) 講演要旨
ESJ73 Abstract


一般講演(ポスター発表) P2-238  (Poster presentation)

水域生態系への環境負荷物質:タイヤゴム中6PPDの定量分析手法の検討
Environmental Contaminants in Aquatic Ecosystems: Analysis of 6PPD in Tire Rubber Using GC-MS

*宮本彩加, 青山佳弘, 北野理基(株式会社 島津製作所)
*Ayaka MIYAMOTO, Yoshihiro AOYAMA, Riki KITANO(Shimadzu Corporation)

 タイヤゴムに広く使用される酸化防止剤6PPD(N-(1,3-ジメチルブチル)-N'-フェニル-p-フェニレンジアミン)は、製品寿命を延ばす重要な役割を担う添加剤である。一方、6PPDは大気中のオゾンと反応し、毒性の高い6PPD-キノン(6PPD-Q)を生成することが知られており、近年その環境影響が懸念されている。6PPD-Qは水域に流入した際、サケ科魚類、特にギンザケに対して急性致死性を示すことが報告されている。現状、タイヤの安全性と性能を維持しつつ環境負荷を低減できる商業的な6PPDの代替物は存在しない。代替物の検討には、タイヤゴム中の6PPD含有量を正確に把握したうえで、同等の安全性や性能を有し、環境負荷低減に寄与できるか客観的に評価する必要がある。
 本研究では、熱分解-ガスクロマトグラフ質量分析計(Py-GC-MS)を用いたタイヤゴム中の6PPDの定量手法を検討した。試料は前処理不要でカットし試料カップに投入する簡便な操作で分析可能とし、樹脂溶液を含む標準試料を用いることで実試料に近い条件を再現し、定量精度を向上させた。検量線はR²=0.999以上の直線性を示し、再現性(%RSD)は5.0%以下、検出限界(LOD)は3.0 ng、定量下限(LOQ)は10.2 ngと良好な結果を得た。実試料の分析では、タイヤゴム片中の6PPD濃度は約1200 mg/kgであることを確認した。
 本検討は、タイヤゴム中の6PPD分析におけるPy-GC-MSの有効性を確認し、今後の環境リスク評価に資することが期待される。


日本生態学会