| | 要旨トップ | 目次 | | 日本生態学会第73回全国大会 (2026年3月、京都) 講演要旨 ESJ73 Abstract |
一般講演(ポスター発表) P2-239 (Poster presentation)
日本では、伝統的に田おこし、代かき、田植えなどが行われてきたが、水田稲作は重労働であり特に水管理が大きな負担となっている。近年では、種まき機トラクタやドローンを使って移植コストを削減できる直播栽培が注目されている。稲の直播栽培には湛水直播と乾田直播があるが、近年では、栽培期間中に湛水しない節水型乾田直播が出現した。本研究では、従来法の湛水移植栽培、湛水直播栽培、陸稲と比較して、節水栽培の収穫量とその規定要因を評価した。
東北5県において湛水直播栽培、節水型乾田直播栽培の玄米収穫量(kg/10a)を比較した。湛水水稲栽培と異なり、節水型栽培や陸稲栽培では窒素・リン欠乏が深刻化する可能性がある。このため、全国の三要素試験、全国の水稲、陸稲の玄米収穫量のアーカイブデータ(圃場、植木鉢)を解析した。
節水型乾田直播栽培の玄米収量は約300 kg/10aであり、湛水直播栽培(550 kg/10a)よりも有意に低かった。節水型乾田直播栽培の玄米収量は陸稲の収量(250 kg/10a)よりも上回るが、水稲(550 kg/10a)よりも収量が落ちた。
三要素試験のアーカイブデータを解析した結果、玄米収穫量は湛水栽培よりも陸稲栽培で窒素・リン無施用による収量低下が大きく、その効果は圃場よりも植木鉢で大きかった。これは根張りのできる土壌深が制限されたためと考えられる。リン無施用による収量低下効果は泥炭土、沖積土よりも鉄酸化物が多い黄色土で大きかった。
農家の声として、コストの低い節水型乾田直播栽培であっても農家の経営には360 kg/10a必要とされ、増収に向けた水管理、肥料管理が必要になるが、低施肥栽培には土壌による違いに合わせた施肥管理、湛水直播栽培、節水型乾田直播栽培の選択が必要になる。