| | 要旨トップ | 目次 | | 日本生態学会第73回全国大会 (2026年3月、京都) 講演要旨 ESJ73 Abstract |
一般講演(ポスター発表) P2-240 (Poster presentation)
リター分解は森林生態系の物質循環を規定する重要なプロセスである。葉リター分解速度は気温や降水量などの環境要因、リター基質、そして土壌微生物群集によって決まることが報告されている。一般的に、グローバルスケールでは環境要因が、ローカルスケールでは基質や微生物群集の影響が強く出ることが知られている。しかしながら、日本列島といった地域スケールにおいてどちらの要因がより強く効くのか、また、葉リター分解の知見が細根リターに適用できるのかといったことは分かっていない。そこで本研究は日本列島において、4 つの森林タイプの細根リター分解速度を調べ、森林タイプと気象要因がどの程度リター分解速度を決定づけるのかを明らかにすることを目的とした。
本研究は、カラマツ林、ヒノキ林、落葉広葉樹林、常緑広葉樹林を対象に、日本の10 地点(足寄、苫小牧、盛岡、瀬田、芦生、神戸、椎葉、田野、綾、与那)で分解実験を実施した。各森林タイプは4つの地点で調査を行った。基質である細根は全て、宮崎演習林において採取した。各プロットには2022年10-12月にかけて細根1g を封入したリターバッグを土壌表層に置き、1年後に回収し、初期重量からの減少重量を分解速度とした。各プロットには8-10個のリターバッグを設置した。森林タイプ間の分解速度は、カラマツで最も高く、ヒノキで最も低く、両者には有意差が検出された。針葉樹と広葉樹の比較、および落葉樹と常緑の比較では有意差はなかった。分解速度は気温や樹種、細根生産量が高くなるほど高くなった。複数の説明変数を用いた線形回帰モデルでは、気温と森林タイプを説明変数に入れたモデルが最もAIC が低かった。これらの結果より、細根の分解速度は気温に加え森林タイプが重要な決定要因であることが示唆された。