| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第73回全国大会 (2026年3月、京都) 講演要旨
ESJ73 Abstract


一般講演(ポスター発表) P2-241  (Poster presentation)

雨庭における土壌炭素循環とは?気候変動緩和策としての雨庭の機能評価
What is the soil carbon cycle in rain gardens? Evaluating the function of rain gardens as a climate change mitigation measure

*浅田寛喜, 孫祺瑋, 皆川朋子(熊本大学)
*Hiroki ASADA, Qiwei SUN, Tomoko MINAGAWA(Kumamoto Univ.)

近年,森林伐採や化石燃料利用に伴う温室効果ガス排出の増大により,気候変動が深刻化し,脱炭素社会への移行が求められている.この課題への対策としてグリーンインフラが注目され,その要素技術の一つである雨庭は,洪水被害の軽減や生物多様性の保全など多面的機能を有していることが報告されている.また,雨庭の土壌動物の種類や量は都市緑地と異なることが示されており,この違いは土壌中の炭素貯留量にも影響を及ぼしている可能性がある.しかし,既往研究では,都市緑地や農地などの土壌を対象として炭素貯留量を評価しているが,雨庭の土壌を対象として炭素貯留量を評価した研究はない.そこで本研究では,熊本県立大学キャンパス内の雨庭を対象に,雨庭の炭素貯留量や二酸化炭素フラックス、土壌の環境要因(温度,湿度,生物活動など)を調査し,雨庭における土壌炭素貯留量や二酸化炭素フラックスに環境要因が与える影響を評価することを目的とした.熊本県立大学の雨庭の集水面積は約178 ㎡であり,面積約35 ㎡,深さ約60 cmであり,この雨庭において雨庭外部の対照エリア(1-1〜1-5),雨庭内部の植物が生育している植物エリア(2-1〜2-5),雨水が貯留・浸透する浸透エリア(3-1〜3-5)の計15地点にて調査を実施した.調査の結果,浸透エリアおよび対照エリアの土壌炭素含有率は植物エリアより高く,都市空間においても雨庭が一定の炭素貯留ポテンシャルを持つ可能性が示唆された.また,土壌炭素貯留量は,土壌ORPや土壌水分が大きくなるほど減少する傾向があることが明らかになった.今後は,バイオ炭の導入による植物の生育状況と浸透能との関係性を評価し,土壌炭素貯留と浸透能を両立した雨庭の整備手法に関する研究を進めていく予定である.


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