| | 要旨トップ | 目次 | | 日本生態学会第73回全国大会 (2026年3月、京都) 講演要旨 ESJ73 Abstract |
一般講演(ポスター発表) P2-247 (Poster presentation)
森林は大気中の二酸化炭素を光合成で吸収し、有機物として大気中から隔離する機能をもつ。そのため、炭素貯蓄機能の高い森林の特徴の把握は気候変動の緩和の方法を模索するために重要である。著者らのこれまでの研究では、日本の天然老齢林の地上部バイオマス(AGB)は気温と優占種の葉の形質に説明される(気温が高く、保守的な葉をもつ種が優占する森林ほどAGBが高い)ことが分かった。本研究ではAGBの増減量が気候、森林構造、樹種組成とどのように関係するかを検証した。
環境省のモニタリングサイト1000に登録されている天然老齢林38サイトを対象に森林のAGBの1年あたりの増減(ΔAGB)を計算した。ΔAGBを枯死した個体によるAGBの減少(ΔAGBm)、生存個体の成長によるAGBの増加(ΔAGBg)、新規加入個体によるAGBの増加(ΔAGBr)に分け、ΔAGBm、ΔAGBg、ΔAGBrを気候(気温、降水量)、森林構造(AGB)、樹種組成(葉と材の形質の群集平均値、優占種の機能型、種や形質の多様性)で予測する統計モデルを構築した。
ΔAGBmにはAGBのみが有意に正に寄与していた。ΔAGBgはAGBと気温の正の寄与によって説明された。ΔAGBrは気温の正の寄与によって説明された。樹種組成がΔAGBm、ΔAGBg、ΔAGBrに与える影響は検出されなかった。つまり、ΔAGBの各要素は気温もしくは森林構造に説明され、樹種組成による寄与は検出されなかった。発表では優占種の機能群(常緑針葉樹、常緑広葉樹、落葉広葉樹)ごとに分けた解析も紹介する予定である。