| | 要旨トップ | 目次 | | 日本生態学会第73回全国大会 (2026年3月、京都) 講演要旨 ESJ73 Abstract |
一般講演(ポスター発表) P2-254 (Poster presentation)
訪花性昆虫は花粉媒介という重要な生態系サービスを担うが、都市緑地環境が野生送粉者の保全に与える効果に関する知見は不十分である。そこで、本研究では再開発により都市域に大規模緑地を創出した赤坂インターシティAIR及び赤坂インターシティ・ホーマットバイカウントにおいて、ジェネラリスト訪花者であるハナアブ類の種組成・体表付着花粉および胃内容物のDNAメタバーコーディング解析を行うことで、再開発緑地が訪花性昆虫にとっての生息場・採餌場としての機能を提供できるか評価を行った。
緑地内10か所において粘着トラップによりハナアブ類を採集し、体表付着花粉および胃内容物からDNA抽出し、ITS2領域を増幅させた。DNAシーケンシングには、オックスフォード・ナノポアテクノロジーズ社のMinIONを用いた。同社のベースコーラーDorado(モデル:dna_r10.4.1_e8.2_400bps_sup@v5.2.0)を用い、QC値15以上の配列からコンセンサス配列生成し、Blast検索により植物種の割り当てを行った。
緑地内において、13種のハナアブ類が確認され、緑地内の微環境条件として植栽樹高や空間開放度等がハナアブ類の種組成に影響し、草地・樹林の双方の環境を選好する種が確認された。DNA分析の結果、体表付着花粉から71種、胃内容物から70種類の植物が検出された。植栽種・自生種に加え、緑地内に存在しない植物種の花粉も確認され、緑地外部から飛来したハナアブ類が緑地内で採餌している可能性を示した。
以上のことから、対象地はハナアブ類を誘引し、生息場や採餌場としての機能を提供することが分かった。また、ヨコジマオオヒラタアブなど比較的山地性の強い種も含まれたことから、皇居周辺を含めて、都市におけるエコロジカル・ネットワーク形成に重要な役割を果たし、生物多様性保全に寄与していることが考えられた。