| | 要旨トップ | 目次 | | 日本生態学会第73回全国大会 (2026年3月、京都) 講演要旨 ESJ73 Abstract |
一般講演(ポスター発表) P2-256 (Poster presentation)
人為撹乱(伐採や土地転用)や自然撹乱(風倒や昆虫の大発生)を含む森林撹乱は、森林の組成や構造の改変を通じて、森林生態系に影響を及ぼす。近年、気候変動に伴い世界的に自然撹乱が活発化しており、岩や枯死木などの撹乱後の残存物(撹乱レガシー)の量や質の違いが撹乱後の森林動態や回復力に長期的影響を与えることが指摘されている。そのため、森林の健全性や回復力を高める森林管理には、森林撹乱の撹乱体制(撹乱の規模・頻度・強度)の定量的な把握に加え、撹乱要因(伐採・風倒・病原体や昆虫の大発生等)の識別が不可欠である。時空間的分解能が高く、広範囲で取得される時系列衛星画像は、撹乱体制の把握に有用である。特に40年以上のデータ蓄積があるLandsatの衛星画像を用いることで、長期的な撹乱体制の定量化が可能である。しかし、森林伐採と台風等による風倒、風倒と昆虫の大発生といった撹乱要因間の識別が困難であり、撹乱要因を考慮した撹乱体制の要因解明には至っていない。
そこで本研究では、約40年間にわたるLandsat時系列画像を用い、北海道全域の森林を対象に撹乱要因の識別および撹乱の時空間分布の推定を行った。解析には森林撹乱推定アルゴリズムを適用し、各年次の植生指数およびその時間的変化量に関連する特徴量を抽出した。これらの変数を説明変数として、機械学習モデルであるランダムフォレストによって30m解像度の各ピクセルにおける撹乱要因および土地被覆変化を分類した。作成した撹乱マップの精度評価を行った結果、皆伐と斜面崩壊において高い識別制度を示した一方で、間伐などの小規模な伐採と風倒による自然撹乱の誤分類の傾向が見られた。本研究で構築した撹乱マップは、基盤情報として撹乱後の森林動態や回復プロセスの理解を深める一助となると考えられる。