| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第73回全国大会 (2026年3月、京都) 講演要旨
ESJ73 Abstract


一般講演(ポスター発表) P2-258  (Poster presentation)

大規模データとIntegrated SDMによる種分布予測の向上の試み
Improving species distribution predictions through an integrated model using presence–absence and presence-only data

*丹野夕輝, 石濱史子(国立環境研究所)
*Yuki TANNO, Fumiko ISHIHAMA(NIES)

種の分布を予測することは、保全地域の策定や新たな調査計画の立案などに有用だと期待される。日本ではすでに複数の公的な調査によって、統一的な手法をもとに広域で得られた分布情報が蓄積されている。これらのデータは極めて有用だと考えられるが、調査地や調査対象の種群などが特定のものに集中する場合がある。十分な記録が得られない種群については、標本記録などの他のデータソースと組み合わせることで分布推定の精度が向上する可能性がある。本研究では、環境省が実施した自然環境保全基礎調査第6-7回植生調査と、GBIFで公開されている標本記録を併せて用いることで分布推定の精度が向上するかを検証した。特に、植生調査の地点が限られている、農地などに生育する植物種に着目した。
植生調査はコドラートを用いた組成調査による在/不在データ、標本記録は在のみデータである。このような異質なデータを同時に解析するため、観測プロセスの違いを統計的に考慮したモデル(Integrated SDM)を構築した。このモデルにおいて、植物種の分布はポアソン点過程の実現値と想定した。在/不在データは所与の調査地点において点過程の実現値を観測したもの、在のみデータは点過程の実現値が間引かれたものとみなした。説明変数として、気候条件、土地利用およびTWI、解放水面面積(陸水)および土壌タイプを使用した。
試行的な解析の結果、ある程度は妥当な予測結果が得られたものの、予測値は標本記録の空間的な偏りを反映している傾向が見られた。このことから、Integrated SDMにおいても標本記録におけるバイアスの補正が重要と考えられた。植生調査の在/不在データのみを用いたモデルとの差異についても議論する。


日本生態学会