| | 要旨トップ | 目次 | | 日本生態学会第73回全国大会 (2026年3月、京都) 講演要旨 ESJ73 Abstract |
一般講演(ポスター発表) P2-265 (Poster presentation)
近年、ネイチャーポジティブ実現が国際目標として掲げられ、2030年までに生物多様性の損失を止め、回復軌道に乗せることが世界的な課題となっている。日本でも30by30目標を掲げ、従来の保護地域に加え、社有林なども対象に自然共生サイトとして認定を行っている。現状、自然共生サイトは全国的に増加傾向にあるが、サイトにおける生物多様性の評価や管理手法についての知見の蓄積は限定的である。自然共生サイトのうち、都市緑地は大面積を確保することが難しいため、小規模サイトでの景観組成による生物多様性への影響を調査することで、都市域の自然共生サイトの構築や管理手法への展開も考えられる。そこで本研究では、滋賀県草津市にパナソニック株式会社が保有する工場内緑地である自然共生サイト「共存の森」を調査地として、特に土壌微生物に着目して多様性と代謝機能を調査した。共存の森は1.3haと比較的小規模であるが、アベマキ植栽区、落葉広葉樹植栽区、池を含む水辺ビオトープ、常緑広葉樹林区、疎林区など、異なる植生タイプの区画がある。2024年5月からの1年間、この5植生区画の各4地点において、月1回土壌(深度5-10㎝20g) を採取した。採取土壌について、微生物群集と代謝機能を評価した。まず、微生物群集の代謝機能を評価する手法の一つであるエコプレート(Biolog社製)を用いて、炭素基質の利用機能を調査した。エコプレートの指標として炭素源ごとの吸光度、AWCDおよび多様度指数などをサンプルごとに算出した。次に、土壌中の細菌16SrRNAおよび真菌ITS領域を対象としたDNAメタバーコーディング解析を行い、細菌と真菌のASV組成を決定した。サンプルごとのASVの出現をASVテーブルとしてまとめることで、各区画のα多様性指標と区画間のβ多様性を算出した。植生区画が、微生物と代謝機能の多様性に与える影響を評価することで、小規模な都市緑地において生物多様性を高める景観管理方法について土壌微生物の面から議論する。