| | 要旨トップ | 目次 | | 日本生態学会第73回全国大会 (2026年3月、京都) 講演要旨 ESJ73 Abstract |
一般講演(ポスター発表) P2-268 (Poster presentation)
神戸市内では、1999年に人工島にてアルゼンチンアリが発見されて以降、中央区や東灘区、垂水区内の多くのエリアに蔓延し、市民生をはじめ港湾物流、産業施設、医療機関において被害が生じている。神戸市では2024年より新たな方法を導入し、駆除活動を開始した。これまでの既製品ベイト剤を用いる方法では、設置場所の制約、回収コスト、入手コスト等の課題があったことに加えて、誘引性が時期やタイミングによって変動が著しいことから、新規に散布型で容器非回収型のベイト剤を開発した。新開発のベイト剤では、動物由来の素材をフィルム状かつマイクロカプセル化した薬剤を多糖類によって特殊加工することで、腐敗防止、高い誘引性と巣への可搬性があり、既存実験によって著しい駆除効果が確認されている。この新規ベイト剤を用いて、神戸市内の広域(東灘区、垂水区)において、2024~2025年にかけて駆除を実施した。駆除方法は、事前の分布情報からルートを設定して、約2~5m間隔でアルゼンチンアリが確認された場所の巣となっている構造物クラックにベイト剤を投入した。それぞれのルートは年2~4回の調査と散布を行うと同時に、アルゼンチンアリの分布多寡を4ランクの出現指標で記述し、現地にてオンライン型の地理情報システムにデータ登録した。これらの対策と分布調査の結果を100mメッシュ区画で集計して、駆除効果の定量と駆除効果に関連する土地被覆要因との関連性について統計解析した。その結果、2年間の対策によって、市内全域においてアルゼンチンアリの出現指標は減少し、特に都市部の住宅地が卓越する場所では著しく個体数が減少した。一方で、高速道路法面や公園緑地、農地が混在するエリアでは、駆除効果が小さい傾向があった。これらの解析結果をもとに、外来生物対策の重点的な駆除エリアを抽出した。