| | 要旨トップ | 目次 | | 日本生態学会第73回全国大会 (2026年3月、京都) 講演要旨 ESJ73 Abstract |
一般講演(ポスター発表) P2-271 (Poster presentation)
グリーンインフラは、自然環境が有する多様な機能を社会における様々な課題解決に活用する社会資本として注目されている。自然がもたらす機能(生態系サービス)が十分に発揮されるには、市民一人ひとりのニーズを満たす機能のサプライがあり、機能が実際に利用されることが必要となる。しかし、これらのニーズ・サプライ・利用実態の関係の理解は十分に進んでいない。本研究は、グリーンインフラがもたらす景観形成機能に着目し、千葉県佐倉市を対象として、GISによる空間解析と市民を対象としたアンケート調査を組み合わせ、ニーズ・サプライ・利用実態の関係を明らかにすることを目的とした。景観形成機能のサプライを評価するため、佐倉市らしい里山景観や自然豊かで四季を感じられる場所などを構成する景観要素を、佐倉市らしい景観写真の募集(佐倉市が実施)に集まった写真などをもとに抽出した。次に、市街地からこれらの景観要素へのアクセス性(徒歩30分圏内)を土地利用・土地被覆データを用いて評価し、それをサプライの指標とした。また、アンケート調査で回答を得た景観形成機能の重要度をニーズの指標とし、同じく満足度を利用実態の指標として集計し、地区(町丁字)ごとにサプライとの関係を評価した。その結果、地区ごとにニーズおよび利用実態が大きく異なることが明らかとなり、サプライが多くても利用実態が低い地区や、ニーズが高いにもかかわらずサプライが不足している地区が存在することが明らかとなった。これらの結果を類型化することで、地区ごとに求められるグリーンインフラ関連施策の方向性を提示できた。本研究により、客観的評価と主観的評価を組み合わせることで、これまで困難だったニーズ・サプライ・利用実態の関係を定量化でき、今後の施策立案に活用できる知見を提供できた。