| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第73回全国大会 (2026年3月、京都) 講演要旨
ESJ73 Abstract


一般講演(ポスター発表) PH-002  (Poster presentation)

静岡県石津浜海岸における釣り人の動向と釣りゴミの解析【A】
Analysis of Angler Behavior and Fishing debris at Ishizuhama beach in Shizuoka【A】

*福安駿生(静岡県立焼津中央高校), 吉澤諒成(静岡県立焼津中央高校), 岩崎真大(静岡県立焼津中央高校), 中村元春(静岡県立焼津中央高校), 矢追雄一(静岡県立焼津中央高校), 木谷亮太(神戸大学), 源利文(神戸大学)
*Toshiki FUKUYASU(Yaizuchuo High School), Ryosei YOSHIZAWA(Yaizuchuo High School), Mahiro IWAZAKI(Yaizuchuo High School), motoharu NAKAMURA(Yaizuchuo High School), Yuichi YAOI(Yaizuchuo High School), Ryota KITANI(Kobe University), Toshifumi MINAMOTO(Kobe University)

 近年,海洋ゴミ問題が深刻になり,海洋生物や生態系に悪影響を与えている。その中で釣りは環境に直接かかわる重大なレジャー活動であるが,釣りと環境を結びつけた研究はまだ限られている。そこで,本研究では,(1)静岡県焼津市石津浜海岸における釣り人の動向と水中に放置された釣り具の種類と量の調査,(2)静岡県内の海岸に潜在する釣りゴミ量の推定を目的とした。
 (1)では,釣り人の動向を調べるために,釣り人へのアンケート調査,SNS情報サイト『アングラーズ』の釣果情報解析と,海中清掃による釣りゴミの回収及び釣りゴミの分類・解析を行った。(2)では回収した釣りゴミの解析データ,石津浜及び石津浜と環境が類似した静岡県内の砂利・砂浜海岸計34ヶ所の『アングラーズ』の釣果件数データ,国土地理院地図を用いた各海岸の海岸線距離の測定データを収集した。そして,これら3つのデータから4ヶ月間で静岡県内に潜在する釣りゴミの量を➀釣果件数にのみ比例する,②釣果件数と海岸線距離に比例するという2つの条件から推定した。
 (1)の結果として,釣り人の動向と回収したルアーの動向は概ね一致した。(2)では,条件①では1,096 kg,条件②では2,292 kgの釣りゴミが静岡県内に潜在していると算出され,1年間に投棄されている釣りゴミ量は3トン以上(単純に3倍)という結論を得た。日本沿岸で網を使わない漁業によるプラ系漁具の年間海洋流出量は251トンと計算されている。それと比較すると,レジャー活動である釣りによって投棄されるゴミが静岡県のみでも,1年間で3トン以上という量は,決して無視できない。釣りによって発生するゴミの量の推定というものは前例がなく,この研究は重要なものであると言える。展望として,今後は日本全国の沿岸を対象にし,潜在する釣りゴミの全体像を示し,実態を把握し,海洋ゴミの削減案を講じていきたい。


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