| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第73回全国大会 (2026年3月、京都) 講演要旨
ESJ73 Abstract


一般講演(ポスター発表) PH-005  (Poster presentation)

eDNAを用いたツチフキの種特異的調査に必要な識別プライマーの設計および検証について【A】
Design and Validation of Species-Specific Primers for Environmental DNA Analysis to Assess the Distribution of Abbottina rivularis【A】

*阪田真由子, 村尾悠華, 須田恵多(大阪高校科学探究部)
*Mayuko SAKATA, Haruka MURAO, Keita SUDA(Osaka High School SR Club.)

2022年8月、大阪府高槻市の淀川において、約30年ぶりにコイ科カマツカ亜科ツチフキが再発見された。本研究は、環境DNA(eDNA)分析を用いた本種の生息状況調査手法を確立するため、種特異的識別プライマーを設計し、その有効性を検証することを目的とした。
先行実験では、ツチフキおよび近縁5種(カマツカ、ナガレカマツカ、スナゴカマツカ、ヨドゼゼラ、ゼゼラ)のCytb領域を対象に、MEGAでアライメント解析およびSeaviewでコンセンサス配列を作成し、Primer3Plusでプライマー候補を設計した。さらにPrimer-BLASTで近縁種への非特異的増幅が起きない領域を選定し、識別プライマーを決定した。次に、ツチフキおよび近縁種のカマツカの飼育水から抽出したDNAを用いてPCRおよび電気泳動を行ったが、ツチフキの増幅産物のバンドは極めて薄く検出感度に課題が残った。その後、検証対象種を増やし、近縁種のヨドゼゼラおよびゼゼラを入手したが、ツチフキ個体が斃死した。そこで、本研究では先行実験の不鮮明な結果は、DNA濃度およびサイクル数の違いに起因すると仮説を立て、再検証を行った。再検証では、ツチフキの斃死個体および飼育水、ならびに近縁3種(カマツカ、ゼゼラ、ヨドゼゼラ)の混合飼育水からDNAを抽出し、各サンプルのDNA濃度を定量後、PCRのサイクル数を30~37と変化させて比較した。その結果、斃死個体を用いた場合にバンドが顕著に濃くなったことから、先行実験の不鮮明な結果はDNA濃度に起因することが示された。また、サイクル数を増やすことで低濃度サンプルの感度は向上したが、32サイクルを境に近縁種からも非特異的な増幅が確認された。以上のことから、設計したプライマーは高い特異性を持つものの、偽陽性を防ぎつつ感度を維持するためには、32サイクル付近に最適な検出条件が存在する可能性が示唆された。


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