| | 要旨トップ | 目次 | | 日本生態学会第73回全国大会 (2026年3月、京都) 講演要旨 ESJ73 Abstract |
一般講演(ポスター発表) PH-011 (Poster presentation)
岐阜のオオサンショウウオを守る!2
~国産個体の生息地を交雑個体から取戻すために~
〇安藤 芽唯・高橋 志帆・小林 那奈美・佐藤 剛駈・吉田 みのり
・伊藤 那緒・河合 七香・粟井 佑果・安藤 有未・田中 隆太郎
・藤井 飛燕・志田 和樹・高木 雅紀(大垣北高校自然科学部)
【背景・目的】岐阜県下呂市の菅田川で、岐阜県初となるオオサンショウウオ(Andrias japonicus)とチュウゴクオオサンショウウオ(A. davidianus)との交雑個体を、2023年8月に私たちが発見して以来、調査を継続している。昨年度までに交雑個体が大型になり繁殖に優位になっていることを明らかにした。交雑個体が大型になる理由の一つに、食性の違いがあると考え、胃内容物や組織の安定同位体比を調査した。交雑個体捕獲の成果、国産個体のサンクチュアリ創出についても報告する。
【材料・方法】短期的な食性の違いを解明するため、強制嘔吐や解剖を用いて
胃内容物を調査した。長期的な食性の違いを解明するため、国産個体と交雑個体の尾部組織の安定同位体比を比較した。また、餌動物の安定同位体比を解析し、国産個体と交雑個体の具体的な食性の違いについて比較した。捕獲した成体および幼生の交雑比を経年的に算出し、2023年から行ってきた交雑個体の捕獲活動の効果について考察した。既存の堰堤の上・下流部の環境DNA調査と餌動物量の調査を行い、国産個体のサンクチュアリの創出に向けて検討した。
【結果・考察】胃内容物の調査より、交雑個体は国産個体よりも多種多様な生物を捕食していることが分かった。安定同位体比の調査より、窒素同位体比に有意差がみられた。交雑個体は国産個体よりも多様な餌動物を利用しているだけでなく、生態系や水産業に甚大なダメージを及ぼしていることが明らかとなった。交雑個体の捕獲を継続することで、幼生の交雑割合が低下していることが分かった。オオサンショウウオが登れない既存の堰堤が、サンクチュアリの創出に有効であることが示唆された。