| | 要旨トップ | 目次 | | 日本生態学会第73回全国大会 (2026年3月、京都) 講演要旨 ESJ73 Abstract |
一般講演(ポスター発表) PH-018 (Poster presentation)
2023~2024年の研究で様々な花の写真を昼夜約14万枚撮影し、ユキノシタやホシザキユキノシタなど特定の構造の花に夕方から多数の蚊が訪花していたことを発見した。また、ユキノシタに網掛け実験を行った結果、蚊による受粉を確認した。このことから蚊が特定の構造を持つ花に誘引されているという仮説を確かめることにした。
2025年の調査ではインターバル撮影で特定の構造の花や近い構造の花を昼夜6万枚以上撮影し、訪花昆虫を解析した。また、蚊が訪花した花と訪花しなかった花の構造を比較した。
その結果、共通の構造を持つハナゼキショウ(オモダカ目チシマゼキショウ科)、アワモリショウマ(ユキノシタ目ユキノシタ科)、マサキ(ニシキギ目ニシキギ科)、オカトラノオ(ツツジ目サクラソウ科)、ネズミモチ(シソ目モクセイ科)、など、目や科を超えた複数種の花に夕方から夜の特定の時間だけ多数の蚊が訪花していたことが明らかとなった。蚊の訪花は特に日没直後に最も多く観察された。また、一部の花では小型のクモが夜間に待ち構えていて蚊を捕食するなど興味深い現象も観察された。
蚊が訪花しなかった花と比較した結果、蚊が訪花する花の共通の構造は、(i)白い、(ii)直径5~10mm、(iii)蜜線が浅い位置、(iv)雄しべ長3~4mm、(v)夏に咲く、(vi)夜も開花、(vii)花序が縦に並ぶ、というものだった。蚊はこういった特定の構造に誘引されるため、蚊に送粉される花は目や科を超えて共通の構造に進化したのではないだろうか。白く小さい花と蚊の関係は新しい送粉シンドロームかもしれない。
今後は蚊が誘引される構造を利用し、安価に蚊を退治する装置の開発を目指す。