| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第73回全国大会 (2026年3月、京都) 講演要旨
ESJ73 Abstract


一般講演(ポスター発表) PH-028  (Poster presentation)

バイオチャーの施用条件の差異が植物の生理活性に与える影響と砂漠化緩和策への応用【A】
The effect of various usage conditions of biochar on plant physiological activity, and application to mitigation for desertification.【A】

*澤田尚樹, 高橋虎嗣, 小山悠太(浅野中学・高等学校)
*Naoki SAWADA, Toraji TAKAHASHI, Yuta KOYAMA(Asano high school)

 近年、過放牧や気候変動による劣化土壌が拡大傾向にあり、その影響下にある地域では食料生産の減少や砂漠化が深刻化している。また、植生の破壊により炭素固定量も大幅に減少し、地球温暖化の促進に寄与している。土壌改良効果や炭素隔離効果があるとされるバイオチャーはこの解決策として機能しうるが、バイオチャーの製作から、散布が生理活性に与える影響の評価までを一貫して行った研究例は少なく、劣化土壌における最適散布条件も不明瞭である。
 本研究では劣化土壌における自作バイオチャーの有効性の評価を目的とし、最適散布条件と植物の生理活性変化の検証、および市販品と自作バイオチャーの効能比較を行った。また、この結果を用いてバイオチャー散布が炭素固定速度に与える影響を定量化し、地球温暖化緩和策としての有効性も評価した。なお、自作バイオチャーは校内の間伐材を原料とした。炭化手法による効能の差異を比較するため、製作には開放系と閉鎖系炭化炉の2種を用いた。
 上記の検証として劣化土壌を再現した土壌に異なる散布条件でバイオチャーを散布し、複数種の植物種を栽培した。また、各条件下での土壌環境や植物の生育速度、生理活性を測定した。
 結果として、市販バイオチャー散布区、特に粗大バイオチャー散布区において植物種に関わらず生育速度と生理活性の有意な上昇が確認できた。これにはバイオチャーからの栄養塩の溶出や、疑似的な団粒構造の形成による土壌間隙の増加、多孔質構造に起因する土壌保水力の上昇が関与していると考えられる。また、自作バイオチャー散布区における土壌ECの上昇と生育促進効果はどちらも市販品よりも低い傾向にあったが、光合成活性は非散布区より高い値を示した。以上の結果から、バイオチャーが劣化土壌を改良し、植物の生育速度と炭素固定能力を向上させることで、砂漠化・地球温暖化緩和策として機能することが示唆された。


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