| | 要旨トップ | 目次 | | 日本生態学会第73回全国大会 (2026年3月、京都) 講演要旨 ESJ73 Abstract |
一般講演(ポスター発表) PH-033 (Poster presentation)
クビアカツヤカミキリAromia bungiiは、幼虫のときにサクラなどのバラ科樹木に侵入して内部を食害し、最終的に枯死させる特定外来生物である。埼玉県には2013年に侵入し、被害は県北部から南部へ広範囲に急拡大している。
私たちは被害拡大を止めるため2021年からソメイヨシノCerasus×yedoensisを対象に調査研究している。成虫の活動時期は6月から8月まで、幼虫のフラス排出時期は3月から12月までと調査から分かった。また、東松山市から所沢市まで南北一直線上で行った調査で、1年間の被害拡大距離は約11kmだと分かった。それらの調査結果をもとに、広域防除策として、2024年に所沢北式防除策を作成した。この防除策は、被害の最前線を定め、最前線から11kmの範囲のソメイヨシノを胸高直径20cm未満で樹皮が滑らかな樹木に植え替えるものだ。この防除策では、翌年の被害拡大が予想される11kmの範囲を被害の受けにくい樹木に植え替えるため、被害拡大の阻止に繋がる。しかし、植え替える品種がソメイヨシノでは時間が経つと再びクビアカツヤカミキリの被害を受ける可能性があるので、植え替える品種を検討している。
今年度の調査で地元所沢市でのクビアカツヤカミキリの被害がついに確認された。所沢北式防除策では11kmの範囲のサクラを植え替えるため、市内全域のサクラの植え替えが必要になる。それは現実的でないと考え、狭域防除策として「クビアカ見つけ隊」というモニタリング調査の仕組みを作った。この目的は、市内に満遍なくある小学校を調査地点として所沢市内の被害の早期発見防除をすることだ。この企画は所沢市への提案を終え、現在は各小学校に依頼を進めている。一度侵入があった地域では、このように調査地点を満遍なく置いて被害の早期発見防除を目指す防除策が有効だと考えた。
被害地域から隣接地域への被害拡大防止が目的の広域防除策と、地域内の被害拡大防止が目的の狭域防除策、どちらも被害拡大防止のために必要だと考える。