| | 要旨トップ | 目次 | | 日本生態学会第73回全国大会 (2026年3月、京都) 講演要旨 ESJ73 Abstract |
一般講演(ポスター発表) PH-036 (Poster presentation)
アギトアリOdontomachus monticolaは, わが国では本来鹿児島県本土と島嶼部にのみ生息するが, 2000年以降国内の他県への移動が確認されている. しかし, 分布拡大の要因や定着に必要な条件について明確には分かっていない. そこで本調査では, 神奈川県横浜市内の公園に定着したアギトアリの生息域において他種のアリ類, および環境データを収集し, 温湿度等の活動条件の推定を試みた. 調査は, 同公園内の調査区域をアギトアリのワーカーや営巣が確認されているエリア3ヶ所(A, B, C)と, アギトアリの活動がほとんど確認されていないエリアA´を設定し, 各エリア内25地点の地表温度, 地表湿度, 地中温度, 地中湿度, pHの測定, およびエリアごとの土壌表面のアリ類を目視で採取した.
調査の結果, アギトアリの活動が確認されているエリアに共通する明確な条件は認められなかった. 特に地中湿度について, 最も距離の近いAとA´においてもT検定による有意差は見られなかった(p<0.05). 一方, A´は他のエリアに比べ気温と地中温度の差が少ない傾向が見られ, この差がなんらかの環境特性の違いを表しているのかは分析の余地がある. 他の在来アリ類は, A´で見られたクロオオアリやサクラアリ, トビイロケアリはA, B, Cでは見られなかった. 逆に, A, B, CではA´で見られなかったコツノアリやイガウロコアリ, オオハリアリが見られた. そのため, これらの種がアギトアリの活動条件とどのように関連しているか今後の追求が求められる.