| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第73回全国大会 (2026年3月、京都) 講演要旨
ESJ73 Abstract


一般講演(ポスター発表) PH-045  (Poster presentation)

ニセウスクモチビアツバの生態に関する研究【A】
Research on the ecology of Micreremites pallens Sugi,1987【A】

*潮平光樹, 倉橋佑市郎, 小菅岳, 竹内康貴(辺土名高等学校)
*Mituki SHIOHIRA, Yuitiro KURAHASHI, gaku KOSUGA, Kouki TAKEUCHI(Hentona High School)

ニセウスクモチビアツバ Microremites pallens Sugi,1987は、沖縄島の1個体のみを基に記載された極めて記録の少ない種であり、生態などに関する知見はほとんど存在しない。 2025 年に浦添市内の洞窟で複数の本種が確認されたことから、本種が洞窟と何らかの関係をもつ可能性が示唆された。本研究では、幼虫期の食性や生育環境に着目し、本種の生活史と洞窟との関係性を明らかにすることを目的とした。
調査は主に4段階で実施した。まず、浦添市内の洞窟において目視調査を行い、 幼虫や蛹の有無を確認した。次に、採集した成虫について、近縁のコウスクモチビアツバとの混同を避けるため、交尾器を顕微鏡下で観察し同定を行った。さらに、沖縄島内で分布調査を実施し、洞窟の規模、人為的影響、 地質、木の根、菌類、コウモリグアノの有無などを記録した。加えて、堆積物などをトレイ上で崩す方法により、幼虫の再調査を行った。
洞内調査では幼虫は確認できなかったが、天井部に多数の繭が確認された。これらを持ち帰り飼育した結果、成虫が羽化し、本種であることを確認した。交尾器観察では、 識別点である Sacculus の形態が文献に記載された特徴と一致したことから本種と同定した。分布調査の結果、本種は沖縄島北部から南部まで広く分布し、石灰岩質で小規模かつ人為的影響の少ない洞窟に多く見られた。
洞内で成虫や蛹が多数確認されたことから、本種が洞窟を羽化や休息の場として利用している可能性は高いと考えられる。一方で、内資を詳細に調査しても幼虫が確認されなかったことから、幼虫期の生育や食性は内ではなく外にある可能性が示唆された。以上より、本研究では本種が石灰岩質の洞窟と密接に関わることを明らかにした一方、幼虫期を含む生活史の解明には、今後さらなる野外調査や飼育実験が必要であることが考えられる。


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