| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第73回全国大会 (2026年3月、京都) 講演要旨
ESJ73 Abstract


一般講演(ポスター発表) PH-051  (Poster presentation)

ベニトンボ(Trithemis aurora)の個体移動のマーキング調査【A】
Mark-recapture study on the individual movement of Crimson Marsh Glider (Trithemis aurora).【A】

*藤澤梨花, 杉山つばき, 阿賀陽向, 石川正樹(兵庫県立星陵高等学校)
*Rinka FUJISAWA, Tsubaki SUGIYAMA, Hyuga AGA, Masaki ISHIKAWA(Hyogo Pref. Seiryo HS)

 ベニトンボ (Trithemis aurora) はインドから東南アジアに広く分布する種である。近年、近畿地方(京都府・滋賀県)において分布の拡大が確認されている。本研究では本種の個体移動を明らかにするため、マーキング調査を実施した。
 調査は2025年5月9日から11月27日にかけて、神戸市垂水区を流れる山田川に上流から下流にかけて調査区A〜Eを設定し、さらに調査区Aから約2km離れた別流域の福田川に調査区Fを設けた。調査区A(約500m)では全期間にわたりルートセンサスを実施し、目視により出現種と個体数を記録した。その結果、ベニトンボ492個体を含む19種3541個体を確認した。ベニトンボは5月下旬から11月上旬にかけて継続的に確認され、9月中旬から10月中旬にかけては優占種となった。
 マーキング調査では、調査区Aで確認されたベニトンボのうち245個体(全体の47%)に翅に油性ペンで個体識別番号を記入した。再捕率は21%であり、定着性が高いとされるアオイトトンボと同程度であった。一方、福田川の調査区Fおよび山田川の調査区B〜Eにおいて、調査区Aでマーキングした個体の再捕は確認されなかった。また、調査区B〜Eでマーキングした92個体のうち、隣接する調査区Bの3個体のみが調査区Aで再捕された。さらに、調査区Aを上流域と下流域に分けて個体の移動を解析したところ、245個体中7個体のみが両域間を移動していた。これらの結果からベニトンボは定着性が強いことが示された。
 再捕された個体のうち、最長でマーキングから33日後に再捕された例があったが、多くの個体は2週間以内に再捕されなくなり、その要因は不明である。また現時点ではヤゴの確認に至っておらず、山田川における再生産の有無を明らかにすることが今後の課題である。


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