| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第73回全国大会 (2026年3月、京都) 講演要旨
ESJ73 Abstract


一般講演(ポスター発表) PH-054  (Poster presentation)

トレイルカメラを用いた樹液場に集まる樹液食昆虫の相互作用の解明【A】
Observation of Insects Gathering Tree Sap Fields using Trail Cameras【A】

*柴田凌玖, 和泉利香, 墨野倉伸彦(立教新座高等学校)
*Riku SHIBATA, Rika IZUMI, Nobuhiko SUMINOKURA(Rikkyo Niiza High School)

 樹液に集まる昆虫を扱う研究は、主に目視による観察によって行われてきた。カメラで動物を自動的に撮影するカメラトラップ法を採用し、樹液に集まる昆虫の変動とその相互作用の解明を目的とした研究を行った。
 埼玉県新座市にある雑木林のクヌギの樹液滲出部にカメラを設置し、2024年6月19日~6月24日と2025年8月1日~8月31日の間、集まる昆虫を10分間隔で撮影した。画像から1時間おきに昆虫の種類と個体数を集計し、時刻ごとに現れた回数を調べた。また、滲出部からの距離も測定した。
 カメラトラップ法によって樹液場に集まる多様な昆虫を同定・観察することができ、ほとんどの昆虫において昼行性や夜行性などの行動特性を捉えることができた。特定の種に着目すると、2025年の結果では、ノコギリクワガタの大歯型(ノコ大)、コクワガタ(コクワ)は夜行性を示し、ノコギリクワガタの小歯型(ノコ小)は昼行性を示した。しかし2024年はノコ大とコクワは見られず、ノコ小単独では夜行性を示した。したがって、樹液の占有においてノコ大が優位にあり、ノコ小はノコ大によって、昼に活動することを強いられている可能性がある。またノコ大とコクワは樹液場において共存できていることが示唆され、クワガタムシは他種間よりも同種間での競争が強いと考えられる。ゴマダラチョウ(ゴマダラ)とアカボシゴマダラ(アカボシ)はいずれも昼行性を示した。樹液滲出部からの距離の平均(相対値)は、ゴマダラ単独では0.29だがアカボシと一緒にいると0.06遠ざかった。一方、アカボシ単独では0.41だがゴマダラと一緒にいるとき0.02近づいた。また、ノコギリクワガタがいると両種とも遠ざかったが、その変化はアカボシのほうが小さかった。したがって、ゴマダラとアカボシは時間的ニッチが重なっているが、外来種でもあるアカボシに若干の優位性が見られた。樹液に集まる昆虫には優位性に差があり、種や大きさによって樹液の独占や他種を回避する行動をとっていると考えられる。


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