| | 要旨トップ | 目次 | | 日本生態学会第73回全国大会 (2026年3月、京都) 講演要旨 ESJ73 Abstract |
一般講演(ポスター発表) PH-059 (Poster presentation)
福岡市の都心部にある大濠公園には周囲約2kmの池があり、池を東西に横断するように設置された81本の杭は、水鳥のとまり場となっている。この杭にとまっている鳥は、しばしば同じ方向を向いている。この現象に興味を持ち、以下の点について調査した。(1)どのような鳥がどの季節にどの程度杭を利用しているか?(2)鳥の向きはどの程度揃っているか?(3)鳥の向きは気温、風向き、風速と関係しているか? 2024年9月から一年間、月に二回、杭に留まる水鳥を写真に撮り、どの杭にどの鳥がどの向きに留まっていたか記録した。風向きは北(0)~北北西(15)の16段階で、鳥の向きは東西南北の4段階で記録した。また、杭以外の鳥の生息状況(水面に浮かぶ鳥の種類、営巣している鳥の種類など)を観察した。その結果、(1)カワウは一年通して利用しているが、4-5月の繁殖期には杭に留まる個体数が激減した。カワウは池の中の小島にある樹木上で営巣していた。ウミネコは9月から2月に、ユリカモメは1~3月に杭を利用していた。(2)鳥の向きを東西南北に分類し、向きのばらつきをシンプソンの多様度指数で評価した結果、指数値は0~0.64の間にあり、ランダムに止まる場合の期待値(0.75)を下まわっていた。(3)水鳥の留まる向きと観察日の気温、風速との間には明瞭な相関がなかった。しかし水鳥の向きと風向きとの関係には明瞭な相関があった。風向きの指標値(0~15)と鳥の向きとの関係を調べた結果、北向きの鳥の割合は下に凸の曲線、南向きの鳥の割合は上に凸の曲線で近似された。したがって、南風の日には南側を、北風の日には北側を向く傾向があった。以上の結果から、杭は留鳥と渡り鳥の両方によって利用されていることがわかった。杭にとまる鳥の向きは風向きに相関しており、水に濡れた羽を風で乾かすために、風が吹く方向に向いて止まっている可能性がある。