| | 要旨トップ | 目次 | | 日本生態学会第73回全国大会 (2026年3月、京都) 講演要旨 ESJ73 Abstract |
一般講演(ポスター発表) PH-063 (Poster presentation)
背景: カラスバト(Columba janthina)は,国の天然記念物および準絶滅危惧種に指定されており,保全が必要とされている。一方で,その警戒心の強さから人前に滅多に姿を現さないため,野外調査での生態把握は非常に困難である。本研究では,カラスバトの繁殖期間を活動量の指標(ODBA)から推定する方法を検討した。また,先行研究より,日中(9:00-15:00)のカラスバトの活動量について,夏季は冬季よりも大きい傾向にあることが示唆されている。
方法:GPS発信器(FLEX II 3G Max)を5個体に装着し,位置データ,気温,および活動量の指標(ODBA)を取得した。ODBAは体の揺れを三軸加速度計で計測し,休息時は400〜450,長距離移動では5000以上を示す。解析は,目視により繁殖が確認され,繁殖期間が記録されている1個体(オス)を用い,(1) 既知の繁殖期間(B)と繁殖をしていないと予想される3つの期間(N1〜N3)との比較,(2) 繁殖期間の推定の二段階で行い,高活動状態(ODBA>1000)の出現回数をカウントした。統計処理は,ポアソン分布を仮定し,分散分析を行った。
結果:1 既知の繁殖期間(B)と繁殖をしていないと予想される3つの期間(N1〜N3)との比較
育雛期(B)は,高活動状態の出現頻度が,繁殖をしていないと予想される3つの期間
(N1〜N3)より有意に多かった。また,自動撮影カメラでの記録では,繁殖期(B)における,巣への出入りが27日間で約158回に達した。これらのことから,オスも積極的に育雛に関与する可能性が示された。
2 繁殖期間の推定
同個体で蓄積されていたデータより,高活動状態の出現頻度がBと類似している期間
(N4)を発見した。N4は,目視では確認できていない繁殖期間であった可能性が示唆
される。
今後の展望:現時点では繁殖が確認されたGPS装着個体が1個体であるため,今後はサンプル数の増加が不可欠である。また,活動量に加え,位置情報や巣滞在時間を統合した分析により,より高精度の繁殖期自動判定モデルの構築を目指す。