| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第73回全国大会 (2026年3月、京都) 講演要旨
ESJ73 Abstract


一般講演(ポスター発表) PH-064  (Poster presentation)

アジアゾウ(Elephas maximus)における物かけ行動の役割と使い分け【A】
The Role and Variation of Object-Bathing in Asian Elephant (Elephas Maximus)in Response to Environmental Changes【A】

*瀬川陽詩(関西大倉高等学校), 濱田小太郎(関西大倉高等学校), 崎本雲鷲(関西大倉高等学校), 土手陽太(関西大倉高等学校), 中井悠人(大阪教育大学), 北尾拓磨(京都大学), 宮地藍(京都大学), 平山陽菜(京都大学), 横坂楓(一般), 杉邨仁美(関西大倉高等学校)
*Hina SEGAWA(Kansai Ohkura), Kotaro HAMADA(Kansai Ohkura), Unsyu SAKIMOTO(Kansai Ohkura), Hinata DOTE(Kansai Ohkura), Yuto NAKAI(Osaka Kyoiku University), Takuma KITAO(Kyoto University), Ai MIYACHI(Kyoto University), Haruna HIRAYAMA(Kyoto University), Kaede YOKOSAKA(No institutional affiliation), Hitomi SUGIMURA(Kansai Ohkura)

京都市動物園では、現在5頭(雌4頭、雄1頭)のアジアゾウ(Elephas maximus)が飼育されている。⼀般に、ゾウは自分の身体に物をかける⾏動をすることが知られている。特に砂浴びは気温との関係がある(Paul A Rees,2002)と知られている。京都市動物園のアジアゾウは砂以外にも泥・水・餌の乾草をかけており、それらを環境によって使い分けているのかを調査した。本研究では4台のカメラを使用して1回30分の撮影をし、後にフォーカルサンプリングで砂浴び・水浴び・泥浴び・乾草浴びの回数を測定した。観察期間は2025/8/10〜2026/1/25までの計28時間分を解析した。また、撮影の際に気温・湿度・日射量を測定した。その結果、水・乾草は平均0.27回/30分に対して、砂は平均5.86回/30分であり、砂のみを利用していることが分かった。気温と砂かけの関係性をみると、両者の間に相関関係は認められなかった(r = - 0.024)。個体別に見てみると美都は5〜10℃で増加しており、25〜35℃あたりで減少していた。気温が高い日には水かけをすることで体温上昇を抑え暑さをしのぎ、その結果砂かけの頻度が低下しているのではないかと考えた。湿度に関しては結果に個体差が見られた。これは湿度が高い時期に観察した日が秋都の常同行動の八の字歩行と重複していたため秋都は他の個体と異なる結果が出たと考えられる。また泥は雨の日にしか存在しないため、湿度の高いときに偏った。湿度と気温の関係性では美都が相関係数(r = - 0.102)と個体の中で最も大きかったが、全体としてほとんどの個体で明確な相関は認められなかった。以上のことから、湿度と砂かけ回数との間に相関関係はないと考えられる。しかし、現段階では個体によって季節ごとの総観察時間が異なるなどの問題点があるので、今後は均等にして解析を進めたい。


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