| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第73回全国大会 (2026年3月、京都) 講演要旨
ESJ73 Abstract


一般講演(ポスター発表) PH-065  (Poster presentation)

飼育下のフサオマキザルにおける個体間の関係性とグルーミングの頻度【A】
The relationship between individuals and the frequency of grooming in captive brown capuchin【A】

*栗田晴音(関西大倉高等学校), 高見音葉(関西大倉高等学校), 鹿野遥斗(京都大学), 杉崎仁友(京都大学), 北尾拓磨(京都大学), 横坂楓(一般), 杉邨仁美(関西大倉高等学校)
*Harune KURITA(Kansai Ohkura), Otoha TAKAMI(Kansai Ohkura), Haruto SHIKANO(Kyoto University), Niyu SUGIZAKI(Kyoto University), Takuma KITAO(Kyoto University), Kaede YOKOSAKA(No institutional affiliation), Hitomi SUGIMURA(Kansai Ohkura)

 京都市動物園のフサオマキザル(Cebus apella)個体群は現在、第一位メスのシゲコ(31)、第一位オスのカンタ(24)に加えツヨシ(9)、ヒトシ(7)、ナギサ(5)、ヒナタ(3)の計6個体で構成されており、ツヨシからヒナタまでの4個体はシゲコとカンタの兄トンキチ(27)の子という血縁関係にあるが、トンキチはカンタとの闘争により第一位オスの座を奪われ怪我を負ったため個体群とは隔離されている。ここで、大部分が血縁関係にある成熟個体のみのコロニーを対象にした研究では特に血縁関係にある個体同士でグルーミングが行われると報告されているが(Schino & Pinzaglia, 2018)、血縁関係下にあり尚且つ未成熟個体を含む場合の個体間交流に関する報告は確認されなかった。京都市動物園の個体群ではナギサとヒナタが現在では未成熟であり、上記の報告例のない条件のコロニーにあることに着目して、そのようなコロニーでの個体年齢と個体間交流頻度の関係を明らかにすることを目的とした。観察期間中(2025年8月〜2026年1月)に1回15分として対象6個体をフォーカルサンプリングで1個体450分のデータを記録し、接触とグルーミングの箇所を取り出し、その時間を集計した。その結果、シゲコとヒナタ、シゲコとカンタの交流頻度の割合が、その集計した全時間に対してそれぞれ1.5割、2割を占めていた。また、コロニーの中で交流頻度が最も高いシゲコに着目すると、シゲコの他個体交流時間に対し、ヒナタ3.5割、カンタ3割、ツヨシ2割、ヒトシ1割、ナギサ0.5割の順に接触が多く、群れでの順位が上がるほど交流が増えたことが明らかになった。ここから未成熟個体を含むコロニーでの個体間交流に関して、第一位メスは一番年齢が低い個体の育児を群れの中心である第一位オスとの交流より優先すること、また、群れでの地位を意識して他個体と交流していることが考えられた。この結果を通して、来年度は一番年齢が低い個体の年齢と第一位メスとの交流頻度の関係を究明していきたい。


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