| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第73回全国大会 (2026年3月、京都) 講演要旨
ESJ73 Abstract


一般講演(ポスター発表) PH-069  (Poster presentation)

ヌートリアにおける頭骨形態による雌雄判別手法の比較【A】
Comparison of Sexing Methods Based on Cranial Morphology in Myocastor coypus【A】

*山下颯梧(浜松北高等学校)
*Sogo YAMASHITA(Hamamatsu Kita High School)

本研究では、特定外来生物に指定されているヌートリアの頭骨の形態の差異によって雌雄を識別する手法を比較した。本種は総排泄膣といった形態的特異性により外見による性別の識別が困難な種として知られている。動物の雌雄識別は、生態学的研究や個体管理において重要な課題であり、特に在来種被害や農作物被害防止のために個体管理が求められる本種における雌雄判別手法の確立は急務であると言える。本研究では雌雄判別手法の検討に先立ち、標本数が限られた条件下でも有効な手法を明らかにすることを目的とした。性別が明らかな頭骨標本23個体(雄:13、雌:10)を用い、頭骨の右側面写真に2Dランドマークを設定して形状を数値化し、主成分分析(PCA)で特徴を整理した。そのデータを用いて、二次判別分析(QDA)、正則化付きロジスティック回帰、線形判別分析(LDA)の3つの統計手法を比較し、ブートストラップ法(N=1000)によりROC曲線とAUCを評価した。結果として、QDAが最も高い識別性能を示し(AUC=0.897、正解率:0.80)、ヌートリアの頭骨には直線では分けにくい形態の雌雄差が含まれる可能性が示された。正則化付きロジスティック回帰は中程度の性能(AUC=0.779)を示し、LDAはほとんど識別できなかった(AUC=0.515)。ただし本研究では使用した標本数が少ないため、特にQDAでは過学習による不安定性が考えられる。以上より、ヌートリア頭骨の雌雄差には非線形的な特徴が含まれる可能性があるが、実用化には標本数の増加と追加指標による検証が必要である。


日本生態学会