| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第73回全国大会 (2026年3月、京都) 講演要旨
ESJ73 Abstract


一般講演(ポスター発表) PH-070  (Poster presentation)

尾瀬国立公園におけるニホンヤマネの生態調査【A】
Ecological survey of the Japanese dormouse (Glirulus japonicus)  in Oze National Park【A】

*小林礼弥, 高橋拓真, 藤井佑貴, 柳田氣里(尾瀬高等学校)
*Ayami KOBAYASI, Takuma TAKAHASHI, Yuuki FUJII, Kiri YANAGITA(Oze Highschool)

ニホンヤマネ(以下ヤマネとする)は一属一種の日本固有種で、国の天然記念物に指定されている樹上性小動物である。私たちはこのヤマネについて、尾瀬国立公園内である片品村戸倉の山林二か所にて2021年から調査を行っている。ヤマネの生態の解明は、環境に配慮した森林整備や生物多様性の保全につながると考えている。しかし、夜行性であり樹上生活を好むというヤマネの習性から、直接の観察が困難であり、詳細な生態については明らかになっていない。そこで、巣箱を設置し、それを利用してヤマネを観察する方法が主に用いられている(湊,2000;芝田,2000)。なお、巣箱は、一般的に目の高さ付近に設置する方法が広く行われている(湊,2000)。ヤマネは森林内では樹洞を潜み場所として利用していると考えられるが、林内のどのような高さの空間を利用しているかについてはあまり明らかではい。そこで、樹上性であるというヤマネの生態を踏まえ、これまでの巣箱の設置高さより高いところに巣箱をかけることでヤマネの利用空間が明らかになると考えた。本調査では、1m~8mの範囲で高さを変えて巣箱を設置した。また、異なる二つの調査地点によってヤマネが使用する巣材に違いが見られるのか検証を行った。その結果、ヤマネは3m以上の高い位置の巣箱を多く利用していることが分かった。同じ巣箱を利用するヒメネズミとは利用高さに違いも見られた。また、ヤマネは巣材としてコケや繊維質な樹皮を多く利用していた。さらに、ヤマネは同じ地域でも植生が変わると異なる巣材を用いており、ヤマネが利用した巣材は調査地の植生に依存していた。このことから、ヤマネの営巣にはコケと繊維質な樹皮が必要であり、巣材の材質にこだわりはあるが、植物の種類は周辺の植生に影響するのではないかと考えた。


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