| | 要旨トップ | 目次 | | 日本生態学会第73回全国大会 (2026年3月、京都) 講演要旨 ESJ73 Abstract |
一般講演(ポスター発表) PH-074 (Poster presentation)
京都市動物園では、老齢アカゲザル(Macaca mulatta)11個体(オス1個体、メス10個体)が飼育されている。その中で、ある個体が動くとそれに続いて他個体も動き出す様子が見られた。アカゲザルには優劣順位が存在する(加藤,2000)ことを踏まえ、連鎖的に別個体のいる位置に新しい個体が移動していくことを席替えと定義し、席替えと順位の関係を中心に席替えの要因を調査した。観察は2025年8月~2026年1月にかけて行い、総観察時間は60時間であった。なお、ボコ2(メス)は腫瘍のために2025年12月に安楽死処置がされ、全10個体となったが、それは本研究では考慮されていない。まず、グルーミング、マウンティング、接触行動からDavid Scoreを算出し、個体間順位を明らかにした。席替え行動については動画を撮影して記録した。結果、最初に動き出した回数が1番多い個体は、順位1位、3位、4位の3個体が同率であり、4番目は2位の個体であった。順位と最初に動き出した回数との関係性が見られた。動いた順番のSpearman順位相関係数は0.657で、中程度の正の相関関係があった。一方、気温や天候、餌の時間とは関係が見られなかった。したがって、席替えはその大部分が高順位個体の動きだしで始まっていたことから、高順位個体の優位性を確認するものとなっている可能性がある。また、席替え行動は2個体以上が動く同調行動と考えられる。さらに、気温や天候、餌の時間が関係しないのは、席替え行動が個体間順位による社会的なものであって、生理的な要因が含まれないものであることが考えられる。よって席替え行動が純粋に高順位個体の優位性を指し示すものであることが言える。