| | 要旨トップ | 目次 | | 日本生態学会第73回全国大会 (2026年3月、京都) 講演要旨 ESJ73 Abstract |
一般講演(ポスター発表) PH-077 (Poster presentation)
刺胞動物に属するヒドラは強い再生能を持ち、切断された個体は完全に再生することができる。また、ヒドラには共生細菌が存在しており、Andrea P.Murillo-Rinconら(2017)によると、共生細菌を失ったヒドラは伸縮リズムが低下することが明らかになっている。しかし、ヒドラと共生細菌に関する研究は一種のヒドラに限定されていることに加え、共生細菌がヒドラの再生に及ぼす影響については明らかになっていない。
そこで、本研究では、クロレラと相利共生を行うグリーンヒドラ(Hydra Viridissima)において、クロレラ以外の共生細菌も宿主に利益をもたらしていると仮説し、無菌状態におけるグリーンヒドラの再生と成長を観察した。
5種の抗生物質カクテルを投与することでグリーンヒドラの共生細菌を死滅させた。結果、切断から48時間後において対照群よりも体長が小さくなることが判明した。加えて、共生細菌を失ったヒドラは足盤で基質に吸着する能力が低く、餌であるブラインシュリンプが近接しても採餌行動を取らないことが明らかになった。
以上から、グリーンヒドラにおいても、クロレラ以外の共生細菌が存在していることが強く示唆された。さらに、共生細菌はグリーンヒドラの再生・吸着・採餌を促進していると考えられる。これらの結果は、動物進化の初期に分岐したヒドラにおいても、宿主を中心とした複雑な共生関係が形成されていることを示し、多細胞生物の初期進化から共生生物が重要な役割を占めていた可能性を示唆する。