| | 要旨トップ | 目次 | | 日本生態学会第73回全国大会 (2026年3月、京都) 講演要旨 ESJ73 Abstract |
一般講演(ポスター発表) PH-078 (Poster presentation)
珪藻は光合成を行う生産者であり、珪藻の生態の理解は水域生態系全体の理解に必要な要素である。付着珪藻において、付着形態は群落構造とその遷移を決定する重要な要因であるが、種ごとの付着様式との相互関係は先行研究が少なく、十分に解明されていない(河村1998)。また、ビオトープにおける珪藻に着目した先行研究は先例が少なく、珪藻の生態に関する基礎的な資料としても価値があると考えられる。本研究では、珪藻の個体数の季節変化を明らかにすること、ビオトープにおける季節変化と付着様式の解明を目的とした。Surirella、Nitzschia、Navicula、Achnanthesが調査地における優占種であった。珪藻全体の生息密度は春に増加していた。これはSurirellaとNitzschiaが春に増加していたためだった。Surirellaは春から夏にかけて、Achnanthesでは冬季に個体数が増加しており、増減には日照時間との相関がみられた。ここから、SurirellaとAchnanthesの個体数は日照時間によって季節変化することが分かった。NaviculaとNitzschiaの個体数には明瞭な季節変化が確認されなかった。Naviculaは4, 5ヶ月周期で増加し、Nitzschiaには周期的な変化が見られなかった。培養実験を行い、珪藻の種の増減は、環境要因だけでなく種間競争や短い遷移による複雑な生物同士の相互作用を受けていることが示唆された。日照時間との相関や珪藻群落構造を調べるために、珪藻の単独培養も行いたい。付着珪藻の付着し易さが珪藻の表面の構造に依存しているのではないかを調べるために、培養実験の継続と、電子顕微鏡を使用した珪藻の表面構造の観察を通して行いたい。