| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第73回全国大会 (2026年3月、京都) 講演要旨
ESJ73 Abstract


一般講演(ポスター発表) PH-079  (Poster presentation)

ヤマナメクジが歩道に出現するパターン~出現頻度と気象条件からみた行動特性~【A】
Occurrence patterns of Meghimatium fruhstorferi on sidewalks: Behavioral characteristics in relation to occurrence frequency and climate conditions【A】

*藤奏葉美(兵庫県立北摂三田高校)
*Soyomi FUJI(Hokusetsu-Sanda High School)

 2018年9月、森林に隣接したアスファルトの歩道で、ヤマナメクジが数個体確認された。ヤマナメクジは森林に生息し活動時には樹幹を這うのがよく観察されることから、通常とは異なる行動と考えられるが、生態に関する研究はほとんど行われていない。そこで本研究では、ヤマナメクジが歩道で確認される時期や気象条件といった出現パターン、そして森林域から歩道上に出現する要因を明らかにすることを目的に行った。
 調査は、兵庫県三田市深田公園の森林に隣接する歩道で、2019年8月から2025年4月までの計277日行った。午後8時から9時15分の間に歩道を約15分間歩いて、ヤマナメクジの個体数と各個体サイズを記録した。
 その結果、ヤマナメクジは8月下旬から11月中旬まで出現し、9月には毎年確認された。気象条件を見ると、9月に出現した日は出現しなかった日に比べて、日平均気温・日最高気温・日最低気温が低いことに加え、当日・前日・2日前の降水量や降水頻度が多く、日照時間が短い傾向があった。歩道に出現する要因については、同様に大型のマダラコウラナメクジが8,9月に性成熟することや調査地周辺の歩道で9月にヤマナメクジの交尾写真が撮影されていることから、繁殖のために他の個体を探すことで行動範囲が広がるためと推察された。
 また本調査を通して、新たな事象も確認された。2023年と2024年9月に、ヤマナメクジの出現頻度が極端に低下した。それと同時に三田市の9月の月平均気温が2年連続で観測史上最高値を更新していることがわかり、この減少は気温の上昇が関係していると考えられた。ただし、2024年については10月にヤマナメクジが例年よりも出現頻度が高く、繁殖行動を9月から、気温の低下した10月にずらした可能性がある。暑さと乾燥に弱いと思われるヤマナメクジは、温暖化による影響をうけやすいと考えられ、今後も出現動向を注視する必要がある。


日本生態学会