| | 要旨トップ | 目次 | | 日本生態学会第73回全国大会 (2026年3月、京都) 講演要旨 ESJ73 Abstract |
一般講演(ポスター発表) PH-080 (Poster presentation)
近年都市河川において、水害対策を目的としてコンクリート等を用いた人工構造物の設置が進んでいる。それにより、河床が自然由来の礫等で構成された底生生物の生息地が減少している事例が見られる。都市河川における生物多様性は重要であり、河川構造物が底生生物相へ与える影響を明らかにすることは、その保全へつながるだろう。本研究では、人工構造物周辺では自然由来の河川環境と比較して多様度が低いのではないかという仮説を立て、その検証を実施した。また人工構造物の設置範囲が異なる事例同士での比較も実施した。
本研究では、東京都内の野川の高谷橋から野川橋にかけて、平瀬、淵、早瀬、コンクリート河床の4地点と、同じく東京都の神田川の神高橋付近のコンクリート河床1地点の合計5地点を調査地とした。方法については、30×30(cm)のサーバーネットを用いて各地点で5つずつサンプルを採取し、後日種の同定を行った。また同時期に水質調査も各地点で行った。
その結果、野川のコンクリート河床においてシンプソンの多様度指数の顕著な低下はなかった。また、早瀬の常在度が野川のコンクリート河床と最も類似していた。よって、野川のコンクリート河床は瀬の代替環境として機能しているのではないかと考察された。
また、野川のコンクリート河床と比較して神田川のコンクリート河床の方がシンプソンの多様度指数が低くなる傾向があった。この原因としては、三面コンクリートによって河川に有機物が流入しにくいこと、野川と異なり上流からの生物の流入が起こりにくいことなどが可能性として考えられた。
結論として、まずコンクリート河床は瀬の代替環境として機能させることができると考えられた。一方、神田川のように、三面コンクリートなど設置方法によっては多様度の低下が発生すると考えられた。