| | 要旨トップ | 目次 | | 日本生態学会第73回全国大会 (2026年3月、京都) 講演要旨 ESJ73 Abstract |
一般講演(ポスター発表) PH-081 (Poster presentation)
バイオ炭とは生物由来の炭化物であり、森林に散布することで土壌中の栄養塩量を増加させ、植物の成長が促進、炭素を長期固定できるため、地球温暖化対策として期待されている。しかし土壌中の栄養塩を生成する有機物分解に与える影響の詳細は未解明である。そこで本研究では、有機物分解メカニズムにバイオ炭散布が与える影響を解明した。
森林土壌を充填したコンテナを準備し、対照区(N区)・バイオ炭添加区(C区)・大型土壌動物添加区(A区)・複合区(AC区)の4条件を設定した。ツルグレン法で中・小型土壌動物量を、微生物呼吸量から微生物活性を調べた。また、網目の異なる3種類(大目は全分解者、中目は大型土壌動物以外、細目は微生物のみが侵入可能)のリターバッグを設置しリター分解率を、土壌の電気伝導率(EC)から栄養塩量を調べた。土壌環境も測定した。
大型土壌動物について、大目のリター分解率がA区よりAC区で高くなったことから、バイオ炭によって活性化されたとわかった。中・小型土壌動物の量も、AC区とC区でN区より多かったことからバイオ炭散布により増加することが確認された。これらは土壌の中性化と地温上昇が関与したと考えられる。しかし観察された中・小型土壌動物のほとんどが動物食性のトビムシであったため、中目のリター分解率は区画間で差がなかった。微生物活性は微生物呼吸量とECがAC区とA区で高くなったことから、大型動物量の増加により活性化し、有機物分解が促進されることが示唆された。一方で細目のリター分解率はAC区とC区で低かった。これは多孔質構造のバイオ炭が住処となり、微生物がリターバック中ではなくバイオ炭に移動したことが原因であると推察された。
以上より、バイオ炭散布は土壌を中性化・保温し、大型土壌動物による有機物破砕を促進させ、それにより微生物による有機物分解が促進、栄養塩量が増加することが明らかになった。