| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第73回全国大会 (2026年3月、京都) 講演要旨
ESJ73 Abstract


一般講演(ポスター発表) PH-082  (Poster presentation)

アオミオカタニシの食性の考察~歯舌の形態、採餌痕跡から~【A】
Exploring the Feeding Ecology of Leptopoma nitidum through Radula Morphology and Feeding Traces【A】

*中村心紅(沖縄工業高等専門学校), 東江あやか(琉球大学)
*Shinku NAKAMURA(NIT, Okinawa College), Ayaka AGARIE(Univ. Ryukyus)

 アオミオカタシLeptopoma nitidum (Sowerby,1843)はヤマタニシ科で,緑色の体色が特徴的な樹上性の陸棲貝類であり、準絶滅危惧種に指定されている。その生態は不明な点が多く、特に食性については飼育下で地衣類やうどん粉病、すす病を食べることが報告されているのみである。そこで、本研究では、食性に関連するとされる歯舌の形態に加え、採餌行動、採餌痕跡に着目し、他種との比較を通して、本種の食性や生態を明らかにしようと試みた。比較対象として、本種と同科のオキナワヤマタニシCyclophorus turgidus turgidus (Pfeiffer, 1851)に加え、ナンバンマイマイ科のオキナワウスカワマイマイAcusta despecta (Sowerby, 1839)の2種を用いた。まず、歯舌の形態比較には、解剖して取り出した歯舌を実体顕微鏡(DMSZ7)17~110倍、生物顕微鏡(NECROS)40~100倍を用いて観察した。また、3種それぞれに寒天シートを与え、採餌行動と表面に得られた採餌痕跡を記録、観察した。
 歯舌の形態比較の結果、本種の歯舌は紐舌型の特徴である、中歯1本、側歯1対、縁歯2対を示すことが確認できた。ヤマタニシも同様の結果となったものの、中歯の形態に違いが見られた。次に、採餌痕跡の観察の結果、採餌時に進行方向に生じる線状の凹凸(歯舌で削り取った跡)がアオミオカタニシ、ヤマタニシに比べ、ウスカワマイマイは細かい等、形状の違いが見られた。また、採餌行動については、アオミオカタニシとヤマタニシは表面を削り取る行動が多いが、ウスカワマイマイは深く掘り進めるような行動を多く示した。今後は、今回の結果をもとに考察を深めるとともに、野外での調査やフンの分析等を通して、本種の食性を明らかにしていきたい。


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