| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第73回全国大会 (2026年3月、京都) 講演要旨
ESJ73 Abstract


一般講演(ポスター発表) PH-083  (Poster presentation)

水産養殖におけるアルテミア培養の新手法:微細藻類 Dunaliella salina の活用【A】
A Novel Approach to Artemia Culture in Aquaculture: Utilizing the Microalgae Dunaliella salina【A】

*鬼頭佑成(玉川学園高等部)
*Yusei KITO(Tamagawa Academy)

 近年、稚魚養殖において餌料としての動物プランクトンの需要が増加傾向にある。特にアルテミア(Artemia franciscana)は、さまざまな魚の稚魚養殖の飼料として利用されている。しかし、近年の異常気象により塩水湖に生息しているアルテミアのシストの個体数の減少や価格の変動が激しい。これにより、漁獲類の価格は上昇傾向にある。 そのため、アルテミアを安定供給できれば新たな産業になると考えた。そこで、本研究ではアルテミアと同じ高塩分濃度の水域に生息している微細藻類であるDunaliella(D.salina)をアルテミアの飼料として利用し、アルテミアの持続可能な低コスト培養を目的とした。
 アルテミア培養におけるDunaliellaの有効性を検証するために実験1でアメリカ産アルテミア幼生を12穴ウェルプレートにそれぞれ10匹採取し、アルテミアに対する餌料としてのDunaliellaの最適濃度を求めた。比較としてアルテミア培養用の人工飼料との比較を行った。体長と生存率の観点から比較し、体長はImageJ(fiji)で解析した。t検定には統計ソフト「R」を使用した。また培養したアルテミアが稚魚飼料として有効かを確認するために、メダカ幼生(Oryzias latipes)に給仕した(実験2)。
結果としてDunaliellaを最適濃度で(3.82×10⁶cell/ml)アルテミアに給餌すると、コントロール群の人工飼料より体長及び生存率で有意な結果が出た。体長では5日目から30日目にかけて統計学的に優位な結果となった。Dunaliellaに含まれるDHAなどの必須脂肪酸などをアルテミアが給餌したことにより自然界と同様な成長・世代交代が形成されたと考えられる。実験2ではメダカ用人工飼料とDunaliellaで培養したアルテミアは同程度の効果があることが示唆された。今後は、培養したアルテミアの成分分析や養殖魚への給餌実験などを行う。本研究の結果から高塩分濃度環境で行う、Dunaliellaを用いたアルテミアの循環型培養システムの提案およびコスト比較を行う。


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