| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第73回全国大会 (2026年3月、京都) 講演要旨
ESJ73 Abstract


一般講演(ポスター発表) PH-087  (Poster presentation)

下水放流が新方川の微生物相に与えた影響【A】
The impact of sewage discharge on the Niigata River【A】

*伊東来美, 石川凛, 長久保都, 内海奏汰, 高橋勇喜, 高田悠希, 宮澤汰空(埼玉県立越谷北高校)
*Kurumi ITO, Rin ISHIKAWA, Miyako NAGAKUBO, Sota UCHIUMI, Yuki TAKAHASHI, Yuki TAKADA, Taku MIYAZAWA(Koshigaya-kita Highschool)

2025年1月28日に埼玉県八潮市で発生した下水管の破損に伴う陥没事故の復旧工事、被害者救助活動のため、同年1月29日から3月3日にかけて、越谷北高校の近くを流れる新方川の上流(春日部市中継ポンプ場)より下水の緊急放流が行われた。下水の放流後、サギやカモなどの水鳥が水面を避けるように陸上に上がっている様子や、コイなどの魚類が死んで浮かんでいる様子が観察されるなど、下水放流は生態系に大きな影響を与えていた。下水放流によって新方川の生態系へどのような影響があったかを明らかにするため、放流停止後の2025年3月〜2026年1月にかけて越谷北高校付近の新方川で河川水を不定期に採集して水生微生物の調査を行い、水質や確認された微生物を放流前の調査結果(2024年11月)と比較した。
下水放流前後を比較すると、ミジンコの仲間・アオミドロ属・アミミドロ属・センチュウの仲間・アブラミミズなどが新たに確認された。これは、下水放流によるミジンコを食べる上位捕食者(魚類など)の減少や、増加した栄養塩類を植物プランクトンが利用して増加したことが原因と考えられる。また、採取日によって、川の水位や流速、水温に差があったため確認された微生物の種に変化が生じた可能性がある。
埼玉県庁のデータによると、下水放流直後のBODは80を、大腸菌数は1000万を超える日もあり、放流前の2024年の値(BOD2.6 大腸菌数340)と比べ、水質は遥かに悪化していたが、調査開始時にはBODは放流以前の水質に近づいていた。しかし、微生物相は放流以前の2024年11月と異なっていることから、下水放流による生態系への影響は放流終了後も残り続けている可能性がある。


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