| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第73回全国大会 (2026年3月、京都) 講演要旨
ESJ73 Abstract


一般講演(ポスター発表) PH-088  (Poster presentation)

三崎臨海実験所と武蔵高等学校~標本・関連資料から読み解く~【A】
Connecting the Past: Misaki Marine Biological Station and Musashi Koto Gakko Through Specimens and Archives【A】

*森田篤志, 白井亮久(武蔵高校・標本庫学)
*Atsushi MORITA, Akihisa SHIRAI(Musashi High School)

1922年開校の旧制高校の流れをくむ武蔵高等学校中学校には多くの博物学標本が残っている。研究機関ではない場所で標本を収蔵し,維持管理して保管していくことは困難が多い。そのため,標本の由来を明らかにして,ここに収蔵されている標本の意義付けを行うことは重要である。
武蔵高校には液浸標本が1000点余りあり,その中に「misaki」と書かれている標本がいくつかみつかった。海洋生物の特徴から神奈川県三崎で採集されたものと思われた。ラベルの形式・筆跡の類似などを手掛かりに,三崎・油壷に関連すると考えられる標本75点に注目した。
今後の標本の利活用のために,それらの標本ガイドブックを作成し,分類群や採集年をまとめ,学校に残る過去の記録を探索した。その結果,10動物門もの分類群が確認され,採集年は1927年から1932年にかけてのもので,自作と思われる標本と島津製作所作製のものがあった。ラベルは4種類ほどみつかった。
学校史の記録から,創立早期から三崎で臨海実習を行っていることが確認された。そのため,今回みつかった自作の標本は当時の臨海実習に関係する可能性がある。1927年9月と1929年2月に採集された海洋生物の標本のラベルに手書きされていた「M.M.B.S.」の記号は,三崎臨海実験所(Misaki Marine Biological Station)を示すものと推定された。また,柳田友輔や団勝磨ら三崎にゆかりのある動物学者が,旧制時代から動物学講師として武蔵高校に勤務していたなど,三崎と関係の深い人物が学校にいたこともわかった。
三崎臨海実験所にも,当時の旧制高校が参加した実習の記録が残っている可能性がある。今後,収蔵標本とそれらの実習記録の対応をして,標本の由来を明確にし,意義付けを進めていきたい。


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