| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第73回全国大会 (2026年3月、京都) 講演要旨
ESJ73 Abstract


一般講演(ポスター発表) PH-089  (Poster presentation)

志賀高原の亜高山帯における植物社会学に基づいた森林再生への挑戦【A】
Challenges for reforestation based on phytosociology in the subalpine zone of the Shiga highland in Japan【A】

*勝川晴太(長野県中野西高等学校), 平松蒼大(長野県中野西高等学校), 毛利友輔(長野県中野西高等学校), 目黒伸一(国際生態学センター)
*Haruta KATSUKAWA(Nakanonishi High School), Sota HIRAMATSU(Nakanonishi High School), Yusuke MOURI(Nakanonishi High School), Shin-ichi MEGURO(IGES-JISE)

中野西高校では、長野県山ノ内町志賀高原のスキー場跡地において、2014年から歌舞伎俳優市川團十郎氏の提案による森林再生を目指した植樹活動「ABMORI」に参加し、植樹並びに成長状況の調査に取り組んでいる。
植生学研究者・故宮脇昭氏指導で始め、その土地本来の樹種群(潜在自然植生)を密植、混植する宮脇方式による、人の手入れがなくても自立的により強く自然性の高い森林再生を目指している。
多雪地の厳しい環境下での宮脇方式による森林再生の試みは世界的にも例を見ないため、今後、効果的な植生回復活動へつなげる生態学的知見を得ることを本発表の目的とした。

植栽地はスキー場跡地3カ所(標高1713m、1654m、1566m)で、植生区分はブナクラス域からコケモモートウヒクラス域に相当し、ゲレンデ整備などで代償植生(草地)になっていた。
調査方法は植栽樹木を植栽地ごとにモニタリング対象木として選び、その樹高、樹長、根元直径を毎年計測した。そのデータ解析から樹種の材積指数(D2H)、形状比(H/D)、生存率などを算出し、成長量や植栽地ごとでの特性などを分析した。

 その結果、以下のことが明らかになった。
(1)材積指数(D2H)からどの植栽場所においても、成長傾向が確認でき、宮脇方式による森林再生が進んでいる傾向が見られる。
(2)樹種では、トウヒの成長が顕著であり、他の樹種と比べ早い傾向が見られた。一方、ウラジロモミは、トウヒと比べ成長は緩やかであり、樹種ごとの成長の違いが明らかとなった。
(3)植栽場所によっては、やや緩慢な成長傾向が見られ、また樹種による生存率の違いが確認され、植栽立地や樹種によって適した土壌水分量が異なると考えられた。

 今後は、長期的にデータを集めるとともに土壌の状態などのデータからより詳細な分析を行い、効果的な植生回復につなげたい。なお、この研究活動は今年度、(公財)三五自然共生財団の助成を受けて行うことができたので、ここに感謝の意を表します。


日本生態学会