| | 要旨トップ | 目次 | | 日本生態学会第73回全国大会 (2026年3月、京都) 講演要旨 ESJ73 Abstract |
一般講演(ポスター発表) PH-094 (Poster presentation)
近年、日本の河川において外来種の放流問題が増え、生態系に干渉していることが指摘されている。東松山市の滑川では在来種と外来種の生息状況調査により、在来種が減少、外来種が増加していることが分かっているが、そのつながりは実証されていない。そのため、食物競争や捕食などの関係性を可視化することで各種に合わせた対応がとれ、外来種対策をより効率化できると考えられる。そこで滑川における外来種を含めた食物網を作ることを目的とした。
2025年10〜12月に埼玉県東松山市内を流れる滑川の支流(水深1〜1.2m、川幅5〜6m)で川の砂の中にタモ網を入れて、、魚を捕獲した。獲った魚の胃腸をシャーレに入れて、指で内容物を取り出し、顕微鏡で観察した。
測定期間を通して79匹の魚を採集し、そのうち在来種が92.5%と圧倒的に多かった。肉食大型魚のライギョとナマズの胃には何も入っておらず、捕食ー被食の関係は明らかにできなかった。一方で胃から藻類が出てきた在来種はフナ、ニゴイ、オイカワ、タモロコ、モツゴ、カマツカ、ドジョウの7種66匹で、ニゴイの一部はエビも食べていた。外来種ではコイ、タイリクバラタナゴ、ブルーギルの3種5匹が藻類を食べていた。滑川支流には藻類が豊富にあることから食物競争は起こりづらいことが示唆された。さらにブルーギルの体長は3.8cmであり、平均体長8.0cmの在来種より小さかったため在来種を捕食できず、肉食寄りの雑食にも関わらず藻類を食べていたと考えられる。
以上より滑川の支流は食物競争が起こりにくく、外来種による在来種への影響は少ないと考えられる。しかし、今回の研究では滑川の生態系や季節のほんの一部分しか明らかになっていないため、今後は魚の成長に伴う行動圏の変化や季節ごとの採食行動の違いに応じた食物網の解明に向け、一年を通して本流の方まで調査を行う必要性がある。