| | 要旨トップ | 目次 | | 日本生態学会第73回全国大会 (2026年3月、京都) 講演要旨 ESJ73 Abstract |
一般講演(ポスター発表) PH-095 (Poster presentation)
神奈川県の鳥獣保護区に指定されている銅像山は、横浜市の貴重な森林生態系として機能している。一方で、近年の地球温暖化や気候変動によって、森林生態系の生物相は大きな影響を受けている。よって、環境問題による影響を定量化できる指標生物を見つけることは重要である。銅像山のような都市緑地において、動物や植物を指標とする例は多いが、土壌中の菌類や土壌動物に注目した研究は少ない。また、それらの関係性については不明瞭な点が多く、菌類と土壌動物の双方に着目し、地球温暖化の影響を調べている研究はない。
本研究では、地球温暖化が銅像山における土壌動物・菌類に与える影響を評価することを目的とした。銅像山において、①時期、場所ごとに生育する子実体の発生種類と数の調査し、発生した種の特徴から環境要因の影響を考察した。また、子実体の生育する区画としない区画の地温、土壌含水量を計測した。②ツルグレン装置を用いて、両区画の土壌動物数と種類を調べ、子実体の有無で比較し、それらの関係性を評価した。
銅像山では、15℃〜25℃に子実体が発生しやすい傾向を示した。また、子実体の発生数・種数は、季節の影響だけでなく、月ごとの降水量が大きな影響を与えることが示唆された。。カワラタケやヒトヨタケのような枯死した樹木に生育する菌類は季節に関係なく生育していたことから、土壌に生育する菌類よりも環境変動の影響を受けにくい可能性があると示唆された。また、子実体が発生した区画は腐敗した有機物や菌類を主食とするシロトビムシやコムカデなどの土壌動物が多く確認された。さらに、子実体の発生した区画は、土壌含水率が高い傾向を示した。以上より、土壌動物と菌類の好む環境条件が一致しており、土壌内での食物連鎖が形成されていることが明らかになった。また、降水量の変化が菌類と土壌動物の総数に大きな影響を与えていることが示唆された。