| | 要旨トップ | 目次 | | 日本生態学会第73回全国大会 (2026年3月、京都) 講演要旨 ESJ73 Abstract |
一般講演(ポスター発表) PH-098 (Poster presentation)
近年、マイクロプラスチック(MPs)による海洋汚染が深刻な環境問題のひとつとして指摘されている。このMPsの多くは、陸域で発生したものが河川を経由して海に流出していると言われ、最近では全国各地の河川におけるMPs調査が始まっている。本発表が対象とする落合川は、東京都で唯一「平成の名水百選」に選ばれた川で、1日1万トンの湧水量を誇り、一部は市内の水道にも利用されている。そのため自治体によるさまざまな水質調査が行われているが、これまでMPs の調査は行われてこなかった。そこで本研究では、落合川の河川水のMPs濃度はどの程度なのか、濃度は地点によって異なるのか、異なる場合は、その原因は何かについて明らかにする。
調査にあたっては、上流寄りの中流と下流寄りの中流2地点でプランクトンネットを使用して試料を得た。それぞれの試料に対して水酸化カリウム(KOH)処理、過酸化水素(H₂O₂)処理を行い、タンパク質を溶かした。MPsの検出方法としては、2種類の染色液を用いた。キチンとMPsを染色するCFW(カルコフロールホワイト)と、MPsのみを染色するNR(ナイルレッド)を比較することでMPsのみの検出を試みた。検出では、FT-IR等の高価な実験器具を用いず、小栁(2025)が提唱した高校生でも手に入る範囲の材料と器具で実験を行った。
調査の結果、先行研究での調査に比べて、落合川で得られた試料のMPs濃度は著しく低かった。2地点における比較としては、下流に近い地点における濃度の方が相対的に高かった。理由として、東久留米市では「分流式」という排水方法をとっており、生活排水は下水管から処理場に運ばれる一方で、雨水は雨水管から川に直接流れ込んでいる。その際、側溝などを伝って川に流れ込む雨水もあり、様々な汚染物質が流れ込む原因になっている。下流に近いほど汚染物質を含む雨水による影響を受けやすいのではないかと考えられる。
小栁 (2025) MPsの簡易検出方法及び煮干しにおけるMPs汚染状況