| | 要旨トップ | 目次 | | 日本生態学会第73回全国大会 (2026年3月、京都) 講演要旨 ESJ73 Abstract |
一般講演(ポスター発表) PH-099 (Poster presentation)
石川県の河川の魚類相について、1996年以降大規模な調査は行われていない。その後、様々な要因により、魚類相が大きく変化していることが予想される。本研究では環境DNA分析技術により、石川県の河川の魚類相を再調査することを目的とした。加えて能登半島地震、能登半島豪雨後の魚類相の変化をモニタリングすること、令和8年に放鳥されているトキの生息環境の基礎情報を把握することを目的とした。
七尾高校は令和5年より能登地域で環境DNAによる調査を始めた。その後、県内の他の高校と連携し、令和7年には県下10校からなる「いしかわ高校環境DNAラボネット」に発展した。能登地区、金沢地区、加賀地区の高校が参加しており、広域調査体制を構築している。調査は環境省生物多様性センターや環境DNA学会の手法に基づいて行い、トキの餌として重要なドジョウや商業的価値の高いアユについて種特異的解析を実施した。また、㈱環境公害研究センターと共同でMiFishメタバーコーディング法による網羅的解析を行い、生息種全種の解明を目指した。2023年には中能登地区の50地点、2024年には奥能登地区34地点、2025年は石川県全域の168地点で調査を行った。
2023年と2024年の調査では、ドジョウの生息が新たに31地点で確認された。これより能登地域がトキの餌場として良好である可能性が示された。網羅的解析では、2023年に66種、2024年に40種の魚種が確認され、1996年の捕獲調査と比べ新たに19種が確認された。また、スナヤツメ、キタノメダカ、ヤリタナゴ、キタドジョウ、ニホンウナギなどRDB掲載種を含む希少種の生息が明らかになった。一方で、オオクチバス、ブルーギル、カラドジョウなどの外来種や移入種の分布拡大も把握された。
震災前(2023年)と震災後(2024年)のデータの解析から、地震と豪雨の魚類相への影響も見えつつある。これについても報告したい。