| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第73回全国大会 (2026年3月、京都) 講演要旨
ESJ73 Abstract


一般講演(ポスター発表) PH-102  (Poster presentation)

荒川水系における外来エビと在来エビの分布と準絶滅危惧種ヌカエビの保全【A】
Distribution of alien and native shrimp in the Arakawa River system and conservation of the near-threatened species, Paratya improvisa【A】

*野中和奏, 吉廣咲希, 日下友結, 瀧口遙(埼玉県立川越女子高校)
*Wakana NONAKA, Saki YOSHIHIRO, Yuui KUSAKA, Haru TAKIGUCHI(Kawagoe Girls High School)

川越女子高校生物部では、2015年から準絶滅危惧種で在来種のヌマエビ属ヌカエビParatya improvisaと外来種であるカワリヌマエビ属Neocaridina spp.の調査を行っている。今年度は高麗川6地点を含む全11カ所を調査した。水質が良いとされる川を調査したところ、越辺川と入間川でもヌカエビが見つかった。このことから、荒川水系の上流には、高麗川以外にも在来種が繁殖している場所があると予想できる。高麗川の調査においては、8月にこれまで在来種しかいなかった白子橋ではじめて外来種の侵入が確認された。さらに11月と1月には外来種が定着していた。理由として、エビ類は夜になると遡上する性質があり、高麗川では2025年夏季の川の水位は例年よりも低く渇水状態が続いたことで、外来種が水位の下がった川岸を遡上し、白子橋に侵入したと考える。今後、白子橋から在来種が淘汰されてしまうことが危惧される。
2024年より企業と連携し、TOPPAN朝霞工場(テクセンドフォトマスク(株)、TOPPAN(株))内にある河川から閉鎖されたビオトープに本校で採取したヌカエビを放流して保全を行い、ビオトープ内のヌカエビの個体数の変動を調べた。6、7、8月に稚エビ(0.5㎝未満の個体)が見られ、8,9月に成体のエビ(1㎝以上の個体)が増加したことから、繁殖して生まれた稚エビが約2カ月で成長したといえる。これらのヌカエビを使用して水質変化に対する耐性を調べた。農薬の実験では、ヌカエビ成体、ヌカエビ稚エビ、カワリヌマエビ属成体のすべてが濃度にかかわらず入れた日に死滅したことから、農薬は微量であっても生存に大きな影響を及ぼす。一方、液体肥料の実験では、ヌカエビ成体はカワリヌマエビ属に比べて水質の変化に弱く、ヌカエビの稚エビはヌカエビ成体と同じであった。このことから、稚エビは水質に大きな影響を受けないといえる。よって、水質の影響は、ゾエアの時期に限られる可能性が高いことがわかった。


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