| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第73回全国大会 (2026年3月、京都) 講演要旨
ESJ73 Abstract


一般講演(ポスター発表) PH-106  (Poster presentation)

藍植物におけるインジカンによる防御機能と植食性昆虫への生理的影響【A】
Defense Functions of Indican in Indigo Plants and Effects on Herbivorous Insects【A】

*雨宮樹里, 福島紅華, 山口瑞帆(津田サイエンスクラブ)
*Juri AMEMIYA, Benika FUKUSHIMA, Mizuho YAMAGUCHI(Tsuda.Sci.)

本研究のモデル生物であるカイコを含む多くの鱗翅目幼虫は、強アルカリ性の消化液を持つ。一方、タデアイは食害応答物質だと考えられるインジカンを含有しており、通常は加水分解・酸化により藍色のインジゴを生成する。しかし、アルカリ性条件下では赤色のインジルビンを生成する。したがって、タデアイ葉を摂餌したカイコ体内では、強アルカリ性の消化液によりインジルビンが生成されると仮説を立てた。本研究では、鱗翅目幼虫におけるインジカン関連化合物の生体内変化について検討を行った。
クワ葉およびタデアイ葉を給餌する2区と人工飼料および酢酸インドキシル、インジルビンをそれぞれ人工飼料に添加する3区の計5区を設けて飼育を行った。各給餌区の個体を解剖したところ、タデアイ葉給餌区および酢酸インドキシル添加区の個体においてのみ、体内器官が一部赤色であることが確認された。赤色色素を単離・精製し、吸光度を測定した結果、標品となるインジルビンの吸光度と吸収スペクトルの波形が類似したことや最大吸収波長が一致したことから、赤色色素はインジルビンであると考えられた。さらに代謝状況の検討のため、各給餌区の糞抽出液の呈色比較を行った。その結果、体内に赤色が見られたタデアイ葉給餌区および酢酸インドキシル添加区は、人工飼料給餌区と同様の呈色であったことから、インジルビンは体内に吸収され、排泄されていないと推察される。また2区において、共通する結果が得られたことから、物質が同じ形態で吸収されている可能性が示唆された。タデアイ葉中に含まれるインジカンは食害によってインドキシルとグルコースに分解されることが推測される。一方、酢酸インドキシルはアルカリ性条件下においてインドキシルと酢酸に分解されやすい性質を持つ。したがって、分解によって生じたインドキシルが吸収された後、インジルビンが生成されていると推察される。


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