| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第73回全国大会 (2026年3月、京都) 講演要旨
ESJ73 Abstract


一般講演(ポスター発表) PH-107  (Poster presentation)

ナガミヒナゲシの花型の謎 〜種分化?投資戦略?〜【A】
The mystery of the flower shape of the long-horned poppy - speciation or Investment strategy -【A】

*ファウラー姫瑠(明治学園中学高等学校)
*Himeru FOWLER(Meijigakuen J.H.S)

ナガミヒナゲシPapaver dubiumは、欧州由来の外来植物で、現在全国的に分布を広げている。ナガミヒナゲシの草丈や形態にはかなりのばらつきがみられる。研究Ⅰでは、ナガミヒナゲシの草丈と花弁の縦横比(幅/長さ)の関係を調べた結果、草丈と花弁の縦横比には強い正の相関があり、小さい株は縦長の花弁、大きい株は横長の花弁という明確な傾向があると示された。この原因として、訪花昆虫の違いに着目した。周囲の植生に被覆されやすい小さい株は、飛翔性昆虫が訪花しにくく、地上徘徊性昆虫が主な花粉媒介者であるか、もしくは自家受粉をしていると考えられ、目立つために花弁幅を広げる必要がない。そこで、もし草丈が遺伝的要因によって決まっているのであれば、大きい株は大きい株同士、小さい株は小さい株同士で交配し続けることで、生殖隔離により種分化が起こっている可能性がある。一方、草丈が環境的要因によって決まっている場合、大きい株は花弁に投資するが、小さい株は花弁への投資を諦め種子形成に投資している可能性がある。研究Ⅱでは、親の草丈、土の栄養の豊富さ、水やりの頻度を変えた計8条件で栽培実験を行った。その結果、環境要因と子の草丈の関係については、条件設定の甘さにより適切に計測できなかったが、親の草丈によって子の草丈に有意な違いは生じていなかった。そのため、少なくとも草丈が遺伝的要素のみで決定しているわけではないということは示された。この結果から、次年度以降、環境的要因をより丁寧に調整し、再検証していく必要があると考えられる。研究Ⅲでは、野外でナガミヒナゲシを総計60分観察した結果、大きい個体では飛翔性昆虫を観察することができたが、小さい個体では訪花昆虫を観察できなかった。また、研究Ⅳでは小さい株に袋がけをして放置した結果、種子の形成を確認できた。


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