| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第73回全国大会 (2026年3月、京都) 講演要旨
ESJ73 Abstract


一般講演(ポスター発表) PH-109  (Poster presentation)

アサガオの交配による世代間での花弁変化【A】
Intergenerational Petal Changes Resulting from cross-breeding【A】

*有薗彩奈(浜松学芸高等学校)
*Ayana ARIZONO(Hamamatsu Gakugei High School)

野生型のアサガオIpomoea nilは青い花を咲かせる。栽培が盛んになった江戸時代には、赤色、桃色、紫色、茶色、白色といった多彩な色の花も現れた。しかし、江戸時代の図譜には黄色のアサガオが記録されるが、現在は失われてしまった。失われてしまった黄色色素と水色が混ざった切れ弁(花弁が切れている状態)のアサガオを咲かせ、その形質が受け継がれる種子を作り出したい、という夢がある。本研究では、切れ弁アサガオの発現を交配で起こすことができるか検証した。異なる花弁の形のアサガオ間での交配を中心に行い、交配に成功した種子を子世代(2代目)、2代目の花同士を掛け合わせた花から採集した種子を孫世代(3代目)とし、花の色と形状の観察を行った。2018年から2024年まで総交配回数1355組中110組の組み合わせ(成功率8.12%)で交配が成功した。そのうち、交配種が基本の花弁形である丸咲以外だったものは110組中36組であった。また、桔梗咲や星咲を取り入れ交配を行ったものでは切れ弁のアサガオが開花した。以上の結果から、切れ弁のアサガオを開花させるためには、アサガオの親株として桔梗咲や星咲の品種を取り入れることで発現させやすいことが示唆された。また、切れ弁は孫世代(3代目)のみに出現した。従って切れ弁は潜性の形質であることが示唆された。そして、3代目以降の世代の花の形状は世代を重ねるにつれて顕性の形質である丸形が発現するようになった。そのため、潜性形質であると推定される切れ弁のアサガオをどの世代でも安定して発現させることは純粋な交配種のアサガオでは困難であることが示唆された。切れ弁のアサガオが開花するアサガオのサンプルをより多く所持すること、切れ弁の形状をどの世代でも安定して発現させる方法について研究を進めていきたい。


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